目次

1.野菜・肉・加工食品など食材の表示を見ながらの賢い選び方
野菜・果物
表示を活用しながらの選び方
JAS法が改正され、生鮮食品の野菜、果物には原産地表示が義務づけられるようになりました。国産品は都道府県名で表示しますが、地名でもよいことになっています。輸入品は原産国名を表示します。

野菜・果物は、産地表示、栽培者名などをしっかり確認
「○○県」より「○○川」産の野菜、果物を選びます。栽培者の氏名まで表示してあったらベストです。

理由は、現在、野菜や果物の残留農薬試験が、各都道府県や各地で行われています。「○○県○○町」や「栽培者名」まで表示されている野菜や果物は、責任の所在がはっきりしていると理解することができます。こういう野菜や果物は、「いつ検査が行われてもいいですよ」ということで、残留農薬の不安も少ないのです。

有機農産物は、JASマークをチェック
これまでガイドラインしかなかった「有機」表示について、2000年からJAS法によって厳しいルールが決まり、違反した場合の罰則規定も設けられました。

そこで有機農産物を見分けるには、ただひとつ、「有機JASマーク」がついているか、いないかを見ることです。マークのないものは、まずニセモノと考えられます。
また、「オーガニック表示」はCODEXが決めたオーガニック基準に従って法規を設け、認定を受けたものだけに許可。日本の「有機」と同じとみなします。

減農薬農産物は、農水省の基準表示のあるものを減農薬栽培農産物は、農水省が設けたガイドライン(法律ではない)のなかの、特別栽培農施物基準のひとつです。

特別栽培農産物には、減農薬、減化学肥料、無化学肥料の栽培農産物があります。有機農産物は条件が厳しくなり、かつ罰則規定も設けられましたが、減農薬栽培農産物には罰則がなく、定義もあいまいで有機農産物より栽培しやすいため、いま、市場で多く見かけられます。

ある消費者センターで実施した野菜での残留農薬検査結果を見ると、ガイドラインに基づく表示のある農産物は、一般の農産物より農薬の残留が少ないという結果も出ています。そこで、一般のものと価格などに差がなければ、ガイドライン表示のあるもの、とくに当地比のある減農薬野菜を選ぶのがよいでしょう。これは、より信頼度が高いからです。

旬のものを選ぶ
旬のものは生育が早いため、それだけ農薬使用量は少なくてすみます。また、施設(ハウスなど)やビニールトンネル栽培は、露地栽培に比べて農薬などの残留期間が長くなり、濃度も高くなります。農薬というのは、紫外線によって消失するものが多いのですが、施設やビニールトンネルでは、その紫外線が遮断されてしまうからです。

葉物の選び方
伸びすぎ、色の淡いもの、細かい枝根が少なく、太い両根が目立つものは避けましょう。これは化学肥料の使いすぎの特徴です。農薬を多用していると考えられるからです。


2.肉類
食肉(牛肉、豚肉、鶏肉)には、パッケージに生産地、部位、用途などが表示されていて、ずいぶん選びやすくなりました。

①牛肉
【国産牛肉】
国産牛はホルスタインなど乳牛種のオスを去勢し、食肉用にしたものなどです。肉を柔らかくする女性ホルモン剤や、抗菌性物質の不安があります。
「○○県産牛」など産地名がついていても、「和牛」と表示していないかぎり、ほとんどが「国産牛」です。
また、外国で生まれて育った牛でも、生きたまま輸入して肉処理すれば、「国内牛」の扱いになってしまいます。

和牛肉
和牛は黒毛和牛、褐色和牛、川本短角牛、無角和牛の4種類のみです。
もともと食肉専用に飼育され、品質もよく、抗閑性物質や女性ホルモン剤などの不安も少ないので安心です。

【輸入牛肉】
輸入牛肉は国産牛に比べ、抗菌性物質などの心配があります。
アメリカ産、カナダ産は、脂肪の色が白いのが特徴で、焼肉に適しています。穀物肥育牛肉と革肥育牛肉のふたつに分けられます。
オーストラリア産、ニュージーランド産は、牧草肥育なので脂肪の色が黄色なのがその特徴です。
輸入肉は風味がやや劣るようですが、煮込みなどに使うといいでしょう。


②豚肉
農水省が1999年、「黒豚」とは「純粋バークシャー種同士の交配で生産された豚肉を黒豚とする」と定義しました。
普通の豚は6カ月で市場に出せますが、黒豚は8カ月かかります。肥育期間が長いので質が良くなり管理もいいので、抗菌性物質などの不安はなくなります。鹿児島県産の黒豚は有名です。埼玉県、栃木県などでも生産が増えていますが、本当の黒豚がどれくらい出回っているのかは疑問です。豚肉全体の2%程度です。

【国産豚肉】
「国産」とだけ表示されている豚肉を多く見かけますが、これには抗菌性物質などの不安があります。

輸入豚肉
最近は輸入豚も増加しています。このように急増している輸入豚肉は、生産現場が見えないだけに国産物より汚染物質への不安があります。


③鶏肉
地鶏肉
「地鶏」については、特定JASとして以下のような基準が設けられています。それは「両親または一方の親が在来種(明治時代までに国内で成立し、または導入されて定精した鶏)でなければならない」というもの。
また、生産方法の基準として、素ビナ、飼育期間、飼育方法、飼育密度が決められています。

なお、主な特定JASで定める在来種には、名古屋コーチン、比内鶏、軍鶏などがあります。
特定JAS以外の地鶏について、業界の定義では「日本在来種の血を受け継いだヒナを、国内で一定期間平飼いしていること」となっていますが、飼育期間、飼育方法、飼育密度などは決められていません。

ただし特定JASや業界で決めた基準の地鶏肉は、供給量も鶏肉全体の2%くらいといわれています。ですから本物の地鶏肉はなかなか手に入らないのが実状です。もし表示が正しければ、地鶏肉の安全度は高いと考えてよいでしょう。

銘柄鶏肉
地鶏とまぎらわしいのが銘柄鶏です。これは肉専用鶏で、鶏自体は普通の肉鶏ですが、飼育日数を延ばしたり、飼料を工夫したりしたものです。飼育期間や飼育日数について規定はありません。主なものに上州赤鶏、伊達鶏、地養鶏などがあります。
地鶏肉ほどではありませんが、一般の国産鶏肉よりは不安物質などの心配は少ないと思われます。

【国産鶏肉】
地鶏、銘柄鶏以外の国内一般の鶏で、抗菌性物質などの不安物質の心配があります。

《輸入鶏肉》
最近、冷凍の輸入鶏が増えました。また、チルド鶏(0℃で輸送)も増えつつあります。


焼き肉用セットと焼き肉セット
「用」のあるなしでガラリと違う表示基準
用という一文字があるかないかで、何か大きな違いがあるのか」と思う人も多いだろう。
ところが、大きな違いが生まれる可能性があるのだ。

JAS法では、精肉の生鮮品と加工品を区別している。複数の部位の食肉を切断したうえで、調味せずに一つのパックに包装したもの(焼き肉用盛り合わせ、焼き肉用セット)は生鮮品、それを調味液につけて一つのパックに包装したもの(焼き肉セット)は加工品とされているのだ。

実際には、品名に「用」がついていようがいまいが、単に切断や薄切りにしただけのものは生鮮品で、調味した場合には新しい属性を付加してあるので加工品になる。牛肉のロースやカルビ、タンなどを切って、一つのトレイに盛り合わせてパックしたものは生鮮品で、その肉にタレや塩がつけてあれば加工品ということになる。

ただし、牛肉だけでなく豚肉も一緒にパックされた焼き肉用セットであれば、たとえ調味されていなくても加工品になる。種類の違うものをセットすれば、生鮮品も加工品に化けてしまうのだ。

これは、JAS法の加工食品品質基準で、加工の定義を「あるものを材料としてその本質を保持させつつ、新しい属性を付加すること」としているからである。つまり、牛肉同士の盛り合わせなら新しい属性は付加されていないが、豚肉のようなほかの種類と盛り合わせれば付加されるというのだ。

この原則は生鮮品すべてにあてはまり、青果(野菜と果物)の野菜ミックス、カットフルーツや、鮮魚の刺身盛り合わせでも同じことがいえる。

では、精肉の場合、生鮮品と加工品ではどんな違いが出てくるのだろう。
生鮮品は、産地表示が必要になるので、国産の場合は「国産」、輸入品の場合は輸入国名の表示が必要になる。

これが加工品になると、産地表示の義務はないが、原材料の表示義務がある。精肉の場合の原材料は、肉の種類(牛、豚、鶏など)になる。つまり、加工品にしてしまえば、産地表示をする必要がなくなるのだ。

小売店は、和牛や黒豚、地鶏といったブランド品や、国産の牛や豚、鶏なら、当然産地を表示したい。しかし、輸入肉や白豚、ブロイラーなどは、どちらかというと産地を表示したくない。そうした産地を表示したくない場合には、加工品にしてしまえばいいのだ。

スパイスをかけた食肉、牛肉のたたき、焼き肉のタレや塩ダレをつけた食肉、パン粉をつけた豚カツ用の豚肉、塩を振った鶏肉などは、精肉売り場に生鮮品の肉と隣り合わせて陳列されていても、すべて加工品になる。産地表示をしなくてもいい加工品は、多くの場合輸入肉を使っていると思っていい。

もう一つ、タレつき肉には、鮮度を隠すという目的もある。
本来、味つけを自慢するほどのタレなら、タレつき肉のほうが単価は高くなるだろう。しかし実際は安く売っている。タレの重量があるので、単価あたりの値段を下げているという理屈もあるが、特性のタレなら逆に高くなってもおかしくはない。なぜ安いのだろう。

精肉は、青果や鮮魚と違って、ドリップ(肉汁)や肉の表面の色の変化で、鮮度が劣るとすぐにわかってしまう。そんな品質の劣る肉や鮮度の劣る(古い)肉を、タレをつけることで隠しているのだ。つまりは鮮度隠し、産地隠しが精肉の加工品なのだ。

調味した肉(焼き肉セット等)、つまり加工品よりも、調味していない精肉共焼き肉用セット等)、生鮮品のほうが、はるかに安心できるのである。

挽き肉も合挽きは加工品に
焼き肉セットと同じ理屈だが、挽き肉も単挽き(牛だけ、豚だけの挽き肉)であれば生鮮品だが、合挽きになると加工品になる。

生鮮品は、少なくとも国産か輸入品(輸入国)かの表示をしなければならないが、加工品は産地表示の義務はない。小売店は当然、和牛や国産牛なら合挽きにはしたくない。「国産和牛挽き肉」と表示して高く売りたいからだ。したがって、どちらかというと、産地を表示したくない輸入牛のほうを合挽きにする。

ちなみに公正競争規約では、単に「合挽き」という表示は認められていない。必ず、含まれている肉の割合が多い順から表示しなければならないことになっている。たとえば、豚6割、牛4割の場合は、「豚・牛合挽き肉」と表示する。

また、1999年7月のJAS法改正では表示部位(サーロインとかロース、カルビ等)の義務化は見送りとなったが、食肉の公正競争規約では部位を表示する規定がある。ただし強制力がないので、必ずしもすべての店で表示されているわけではない。

しかし、狂牛病問題でもあきらかなように、部位表示は食肉の安全にとっては欠かせない情報の一つだ。そういう意味からは、産地表示だけでなく、合挽きや部位表示の規約を守っている店が安心といえる。


3.魚介類
表示を活用しながらの選び方
JAS法が改正され、生鮮食品の魚介類には漁獲水域名、解凍物かどうか、養航の表示が義務づけられました。海藻類にも義務づけられています。
なお、天然ものには解凍、養殖の表示の義務はありません



【回遊魚】
アジ、イワシ、サバ、サケ、サンマ、タラ、トビウオ、マグロ、カツオ、ブリなど。このうちアジとブリは養殖魚のほうが多いです。
回遊魚の安全性は比較的高いといわれるのは、群れをつくって季節ごとに移動するため、1カ所にとどまっていない分、化学物質などに汚染されることが少ないからです。なかでもタラ、マグロのように脂肪が比較的少ないものは、さらに安心といえます。

【近海魚】
アナゴ、アマダイ、イシダイ、イカ、カレイ、カマス、キス、キンメダイ、タコ、クロダイ、クルマエビ、サョリ、サワラ、スズキ、タチウオ、メバル、ヒラメ、ボラ、ワカサギなど。このうち、クルマエビ、ヒラメは養殖物と天然物が半々です。

湾内や沿岸でとれる近海魚は、工場廃水や農薬、ダイオキシンなどの環境ホルモンで汚染されている心配があります。そこで、漁獲水域表示はどこでとれたかよくわからない「○○県産」や「○○港産」より、環境汚染地域かどうかがわかる、なるべく狭い地域のものを選ぶようにします。

【養殖魚】表示義務がある
アユ、クルマエビ、コイ、シマアジ、ハマチ(ブリ)、ヒラメ、フグ、ホタテ、マス、マダイなど。狭いイケスのなかで大量の魚を飼うため、魚の病気を防ぐ抗閑性物質が使われたり、環境汚染物が残留したりするなど、安全性には大きな不安があります。

貝類
アサリ、シジミは輸入ものが1年中出回っていますが、国内産と表示がある(偽装表示でない場合)貝のほうが、不安は少ないのです。



4.加工食品
食品添加物の良し悪しを見分ける方法

食品添加物の表示は残念ながら規定事項がなく、原材料と同じ原材料名のなかに表示されています。ですから食材と食品添加物を見分ける目を持たないと、どれが添加物なのかわかりません。そこで見分ける方法を次の表にまとめました。

1 使用目的が書かれている場合 例酸味、香料など
2 カタカナなどの文字がある場合 カラギーナン、リン酸など
3 化学記号がある場合 na、kなど
4 使用目的(○○)のように()がある場合 保存料(ソルビン酸k)など
5 色という文字がついたもの カラメル色素、赤色2号など


《選んではいけない食品添加物》
×ソルビン酸、ソルビン酸K
×パラオキシ安息香酸、パラオキシ安息香酸州
×アスパルテーム
×赤色104号、106号、2号、3号、10号、黄色4号、5号など、コチニール(カルミン)色素
×サッカリン、サッカリンNa
×硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム
×リン酸Na、リン酸塩


遣伝子組み換え表示があるなしで、加工食品を選ぶ
遺伝子組み換えでない加工食品の選び方
まず当然ですが、「遺伝子組み換え」「遺伝子組み換え不分別」の表示のあるものは選ばないことです。これらは表示の義務がありますから、必ず表示されています。

「遺伝子組み換えでない」食品は表示の義務はありません。しかし、メーカーやスーパーなどは遺伝子組み換えでないときは、そのことを消費者にアピールしたいでしょうから、「遺伝子組み換えでない」と、まず表示します。この表示を見て選べばよいでしょう。


*しょうゆ…有機大豆使用のもの
*食用油…オリーブ油、ごま油、米油、しそ油
*マヨネーズ…紅花油使用のもの
*マーガリン…紅花油使用のもの
フレーク…カボチャ、サツマイモ、玄米のもの
*酢…純米酢
*油…純米酢、純米吟醸酒
*ビール…麦芽100%のもの
*ウィスキー…モルトのもの

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