目次

日本が輸入している食品一覧│穀類
1. 穀物
輸入穀物と主な輸入先
一般的に穀物を分類する場合、①食用穀物、②飼料用穀物③油原料用穀物の3つに分けられています。①食用穀物には、小麦、米、そばなど、②飼料用穀物には、とうもろこし、グレーンソルガム(こうりやん)、大麦など、③油原料用穀物には、大豆、ごま、なたねなどが含まれます。

これらの穀物は、世界貿易にとっても、また、とくに日本の食料の需給にとってもきわめて重要なものです。人類が生きるためには穀物が最も重要な食料です。

日本が輸入している穀物類の量は、全輸入食料の量の6割程度を占め、また日本人が消費する国産品を含めたすべての食料の量の35%強にあたります。したがって、これらの穀物の輸入が仮に突然ストップするようなことが起これば、パン、めん類、みそ、しょう油などの大部分の原料はなくなり、牛、豚、鶏の飼料や食用油の原料もなくなり、日本人の現在の豊かな食生活は成り立たなくなります。


2. 米5%輸入
日本は、豊原瑞穂の国として、コメを主食とする。日本食は寿司をはじめとして、世界に冠たる健康食として世界的なブームとなっている。
しかし、この日本で1995年4月から2006年3月末までの11年間に日本国民が1年間に食べるコメの量に匹敵する723万トンのコメがミニマム・アクセス米として輸入されたことを知っている人はあまり多くないだろう。

ミニマム・アクセス米とは、国内のコメ消費量の一定割合について輸入する機会を与えるというものであるが、政府は「義務輸入」だとして輸入を義務づけている。日本は泡盛の原料として一部タイ米を輸入する以外は、冷害による米不足に伴う緊急輸入を除いて、コメを輸入することはなかった。WTO協定を締結したことによって、コメの輸入が自由化され、輸入が解禁されたことによりミニマム・アクセス米としてコメの本格的輸入が始まったのである。

その結果、豊原瑞穂の国日本は、米の自給率が今や95%と100%を切り、コメを輸入する国になったのである。
この数年間で、日本にコメを輸出した国は、なんと言ってもダントツが米国で341万トン、次いでタイが165万トン、中国が91万トン、オーストラリアが94万トン、ベトナムが25万トンである。

米だけは現在まで輸入非自由化品目でしたが、1999年度より関税化になるとのことです。したがって今までは他の穀物のように誰でも関税さえ払えば自由に輸入できるというものではなく、少量の個人輸入は除くと輸入するのは原則政府だけです。
従来から日本は米の輸入はしないとしてがんばってきましたが、1993年のガット・ウルグァイラウンドの農業合意の結果、1995年4月より、「輸入自由化はしないが、決められた一定の量を日本政府が輸入する」ということになりました。その輸入量は1995年は37万9000トン(精米トン)で、その後次第に多くし、2000年には75万8000トン(精米トン)にする
というものでしたが、来年度(1999年度)より関税化になるとのことです。


小麦86%輸入
日本は547万2347トン(2005年)の小麦を輸入している。日本の小麦の自給率はわずか14%。86%を海外からの輸入に依存していることになる。
世界的に見ると日本はエジプト、ブラジル、EUに次ぐ世界で第4位の小麦輸入大国となっている。この小麦は、用途によって種類が異なっている

例えば、パスタ用に使われる小麦はデュラム小麦で、パン用に使われる普通小麦とは染色体の数も違う。ラテン語で硬いという意味もあるように、デュラム小麦は硬く、色も黄色っぽく、パスタの原料小麦として最適なものとなっている。
日本にはこのデュラム小麦が、23万6127トン輸入されているが、ほぼ全量カナダから輸入されている。

要するに日本で食べている国産スパゲッティやマカロニは、ほとんどがカナダ産のデュラム小麦で作られているわけだ。
オーストラリア産小麦は、普通小麦であるが、オーストラリアは日本の麺用に適した小麦を開発生産している。それを、ASW(ヌードル・ブレンド)小麦という。うどん、そうめん、乾麺などに使われる。

また、ラーメン向け麺や餃子の皮などもオーストラリア産小麦(PH)で作られている。オーストラリアからは、110万7053トン小麦が輸入されているが、ほぼ全量が麺用に使われている。

普通小麦は、全体で514万7326トン輸入され、先のオーストラリアを除くと、米国から310万2452トン、カナダ93万5025トン、フランスから2779トン輸入されている。これらの普通小麦は、パンや菓子、家庭用小麦粉などの用途に使われている。

では、国産小麦の比率は小麦粉製品ごとにどうなっているだろうか。
農林水産省によると国産小麦比率はパンで1%、うどんやそうめんなどの日本麺で約60%、中華麺などで約3%、菓子用で約20%、家庭用で約10%、みそ・醤油用で約20%となっている。日本麺用の6割が国産としても、例えば讃岐うどんなどでは95%ほどがオーストラリア産小麦を使っているように、うどんの種類によって国産比率も違うようである。

日本で1年間に消費する小麦の量は約600万トンです。ちなみに米は約1000万トンとなっています。この600万トンのうち、国産の小麦は約1割弱の40万トン強(平成7年)で、9割以上は輸入の小麦です。私達が毎日食べているパンやめん類をはじめ多くの小麦で作られている食品の原料は、ほとんど輸入小麦によって作られたものです。

輸入先は、アメリカ、カナダ、オーストラリアの3か国で、このうちアメリカが全体の6割程度、カナダが3割弱、残りがオーストラリアです。パスタの原料に使われるデュラム小麦の約9割以上はカナダより輸入され、残りはアメリカです。1997年はカナダ産のみでした。過去に、小麦は3か国以外から輸入されたこともありましたが、品質の面から現在では3か国にしぼられたとされています。また、この3か国は、自国で生産した小麦の半分以上を輸出しており、輸出産業として小麦を生産しています。とくにオーストラリアは、生産量の7割以上を輸出に回しています。


そば79%輸入
そばは日本の食文化を代表する食材である。時そばをはじめ、落語の題材として多く使われている。
江戸時代、そばはすべて国内産であったが今や、国内で生産されるそばは、3万2000トン。それに対して、輸入量は8万4934トン(2005年)にも及ぶ。自給率は少なく、国内流通のそばの8割が輸入そばということになる。

そして、輸入されるそばの84%が中国産である。後は12%が米国産、1.6%がカナダ産、1.3%がオーストラリア産となる。結局、国内で流通しているそばの66%、約7割が中国産そばということになる。中国は世界のそば生産の約2分の1を占めるそば大国なのである。

中国のそばの主産地は、中国そば生産の4分の1を生産している内モンゴル自治区で、日本向けのそばの多くはこの内モンゴル自治区で生産されている。
しかし、中国のそばの輸出量が06年は03年に比べて2割以上減少した。中国産そば価格が値上がりし、06年は03年の2倍の価格になっているのである。

中国産そばに依存している日本のそば屋は輸入量の減少と価格の高騰の直撃を受けている。なぜ輸入量が減少し価格が高騰したのか。その原因は、黄砂対策の植林振興で内モンゴル自治区のそば畑が森林に変わるとともに、中国国内のそば需要が増えてきているためである。

さらに、安全コストも上がってきている。中国産そばからは、基準値を上回る、自然界で史上最強の発ガン物質であるカビ毒のアフラトキシンB1が検出されるとともに、残留農薬等のポジティブリスト制の導入後の検査で残留基準を上回る有機リン系殺虫剤メタミドホスが2回も検出され、中国産そばの安全性に強い不信感が出されている。

そのため、中国国内でも事前検査体制を強めるとしているが、その検査コストも輸出価格を上げる要因になっている。
日本にも黄砂が飛来をしており、黄砂対策はしてもらいたいが、そのために日本のそばが値上げになるとは、皮肉なものである。


とうもろこし100%輸入
輸入数量は飼料用トウモロコシの10分の1程度であるが、様々な食品向けトウモロコシが日本に輸入されている。

2005年で生鮮スイートコーン(480トン)、冷凍スイートコーン(4万5170トン)、スイートコーン調整品(5万1710トン)、コーンスターチ用トウモロコシ(348万5840トン)、コーンフレーク用トウモロコシ(4万8598トン)、コーンクリッツやスナック用トウモロコシ(10万8772トン)が輸入されている。

生鮮スイートコーンを除いてその輸入先のほとんどは米国である。例外的なものとして、生鮮スイートコーンがオーストラリアと台湾からの輸入となっている。
冷凍スイートコーンは、米国(2万9174トン)以外にニュージーランドから1万1574トン輸入している。

食品向けトウモロコシの主体は、348万トン輸入しているコーンスターチ用トウモロコシである。コーンスターチは、トウモロコシでんぷんと言われ、食品加工には欠かせないものとなっている。パンのもちもち感を出すのに使われる増粘剤などもコーンスターチから作られている。

また、コーンスターチを加水分解して、甘味料にも使われている。このコーンスターチ用トウモロコシが、今、自然界で史上最強の発ガン物質であるアフラトキシンB1による深刻な汚染に見舞われている。05年の超大型ハリケーン・カトリーナによる被害で、熱帯地域特有のカビ毒であるアフラトキシンB1汚染が広がったのである。危機感を持った厚生労働省は、12月から米国からの食品向け輸入トウモロコシを全量命令検査とした。

検査結果は驚くべきものであった。違反率は1月の7.4%から6月には9.2%まで上がっていったのである。幸い命令検査なので、違反トウモロコシは全量廃棄処分となっている。だが、同じ時期、飼料用トウモロコシの輸入検査を行っていた農林水産省の肥飼料検査所(当時)は、全くアフラトキシンB1汚染はないとの結果を公表している。誰がそのような結果を信じるのだろうか。

とうもろこしの世界の生産量は約5億トンで、小麦、米とほぼ同じ量が生産され、世界の穀物の3本柱の1つです。貿易上の分類では、小麦米が食用穀物となっているのに対し、とうもろこしは飼料用穀物に分類されています。世界のとうもろこしの用途は90%は家畜の飼料に使われ、残りがコーンスターチ、食用、ビール醸造用その他であり、日本の場合もほぼ同様に使われています。

世界的に見て、とうもろこしを主食としているのはアフリカの大部分の地域で、それ以外にはメキシコではトルティーヤとして食用にしています。

日本が現在輸入しているとうもろこしの量は、年間1600万トン強です。この量は日本が1年間に輸入している全食料の量の3割弱にあたります。例えば、日本で1年間に消費される米の量と比較してみるとその約1.6倍にあたる莫大な量です。

国産のとうもろこしの生産は現在はほとんどなく、日本で消費されるとうもろこしは、一部のスイートコーンを除けばほとんどが輸入ものです。


大豆95%輸入
日本の食文化にとって、大豆は欠かせない。豆腐、油揚げ、納豆、味噌、醤油は、すべて原料は大豆である。
しかしながら、日本の大豆生産は22万5000トン(2005年)しかない。
大豆の自給率はわずか5%である。これに対して大豆の輸入は、418万トン(05年)に及んでいる。

輸入先は74.7%が米国、8.4%がブラジル、7.3%がカナダ、4.3%が中国となっている。

この418万トンの輸入大豆の約74%は、大豆油の原料として使われている。
残りは食品向けとして、味噌、醤油、豆腐・油揚げ、納豆、豆乳などの用途に使われている。
農林水産省の推計では、輸入大豆の食品用途別使用量は味噌向けが14万トン、醤油向けが4万トン、豆腐・油揚げ向けが49万2000トン、納豆向けが13万トン、豆乳など向けが24万4000トンなどとなっている。

では、国産大豆は食品向けにどれだけ使われているのだろうか。
業界団体などからの聞き取りや業界紙などで調べてみると、国産大豆の使用量と使用比率(05年)は、味噌が1万トン(7.1%)、豆腐・油揚げが8万トン(16・2%)、納豆が9600トン(7.4%)、醤油が3500トン(8.7%)となっている。
また、農林水産省の調査では03年で、豆腐で約27%、納豆で約12%の国産大豆使用比率となっている。

アメリカでの生産面積遺伝子組み換えが89%
消費者が強い関心を持っているのは、安全性に懸念が表明されている「遺伝子組み換え大豆」が豆腐や納豆などに使われているかどうかである。
この点で知っておきたいことは、今のところ非遺伝子組み換え大豆は、米国で900万トン程度生産されているが、遺伝子組み換え大豆の生産面積が、米国の大豆生産面積の89%にまでなっていることである。
遺伝子組み換え大豆の生産面積が米国の大豆生産面積の75%であったことから見ると急速に遺伝子組み換え大豆の生産面積が拡大して、現在は毎年2%ずつ生産面積を広げている。
日本が1年間に消費する大豆の量は、約450万トン強で、そのほとんどは輸入大豆です。国産の大豆はそのうちの2%(平成7年)程度にすぎません。

この日本が消費する450万トンのうち、8割程度が油の原料として使われ、残りの2割程度が食用として、みそ、しょう油、豆腐、納豆、凍り豆腐その他に使われます。また油のしぼりかすは家畜の飼料となり、食肉や牛乳・乳製品となります。油はマーガリンの原料としても使われていまこのように、私達が毎日食べている多くの食品は輸入大豆に依存しています。また、日本は世界最大の大豆輸入国です。

主な輸入先は、アメリカが全体の8割以上を占めており、続いてブラジル、パラグアイ、中国、カナダなどで、全部で10か国前後から輸入を行っています。
アメリカの主な産地はアパラチア山脈の西側で、5大湖の南および南西に位置するイリノイミズーリ、インディアナの各州などの広大な農地です。これらの地域の大豆の作柄が直接日本人の食生活に影響を及ぼすことになります。


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