うす塩味の「味」表示があれば塩分は多くても関係ない

うす塩味とうす塩は大違い
「味」表記のマジックにご用心
塩分の表現も気になるところだ。長年日本では、塩分=食塩といわれてきたが、実際は、食塩のなかのナトリウムが問題だった。そこで、栄養表示基準では、食塩の量を表示するのではなく、ナトリウムの量を表示することが義務づけられた。

塩分が少ないことを表す言葉には、「うす塩」「減塩」「低塩」「塩分ひかえめ」「塩ひかえめ」「甘塩」「あさ塩」といったものがある。こうした表現は、塩分の合有量が100グラムあたり120ミリグラム(飲料も同じ)以下でなければ使えない。

ところが、こうした言葉に、「うす塩味」とか、「塩分ひかえめ味」「甘塩味」「塩味ひかえめ」というように、「味」と一言つけ加えると、たちどころに味覚表現となってしまう。

つまり、塩分の量とはまったく関係がない表現になるのだ。なにか言葉のマジックのようだが、「味」がつくと栄養表示とは無関係になってしまい、どんなに塩分が多くてもかまわないのである。

たとえば、「うす塩味」と表示されたポテトチップスはよく見かける。だがその多くは、100グラムあたり300ミリグラム以上の塩分(ナトリウム)を含んでいる。なかには、500ミリグラムを超えるものもある。

また、「うす塩味紀州南高梅」といった梅干しもよく見かけるが、決して塩分が少ないわけではない。しかも、「うす塩味」は栄養に関する表現ではないので、栄養表示の義務がない。

そのため、うす塩味の梅干しには、栄養表示どころか塩分の量の表示さえないものが多い。

味覚表現ということは、「甘さひかえめ」と同じで、塩分がいくら多く含まれていても問題はないということだ。もしも、本当に「減塩」で塩分が少ないなら、「味」などつけないで「うす塩」とハッキリ表示するだろう。「うす塩」と表示することができないのだから、塩分が少ないはずがない。

では、「うす塩」だったら安心できるのだろうか。塩分の場合も、「低糖」や「低カロリー」と同じで、ほかの食品と比較して「〇%減塩」とか「食塩〇%カット」といった表現ができる。

たとえば、ある「即席減塩みそ汁」は、減塩といっても「20%減塩」という表示、つまりほかのみそ汁と比較して低いだけで、一食分の20グラムのなかにさえ630ミリグラムもの塩分(ナトリウム)が含まれている。これはポテトチップス一袋分よりかなり多く、単なる減塩の基準値の5倍以上も含まれていることになる。

そもそも、梅干しなどの漬物やポテトチップス、みそ汁といった食品に、減塩(うす塩)を求めることに無理があるのだ。塩分が多いからこそ成り立つ食品である。塩分をひかえたい人は、漬物などの塩分が高い食品そのものを避けるべきだろう。

また、塩分については、医者からひかえるようにと指示をされている人も多い。そんな人でも、味噌やしょうゆは料理に欠かせない。しかし、低塩味噌、塩ひかえめ味噌のなかには、通常の味噌と比較して何%カットというものも多い。

そういうときには、低塩とか減塩という言葉だけを信用するのではなく、必ず特別用途食品マークを確認するようにするといい。特別用途食品は、乳幼児や妊産婦向けの粉乳や高齢者用食品のほかに、病者用の食品もある。

とくに、低ナトリウム食品のしょうゆや味噌は、病院で使われるだけでなく、市販されているものも数多くある。特別用途食品には、国(厚生労働大臣)が認めた証として必ずマークがついている。塩分をひかえなければならない人は、減塩とか低塩といった言葉だけでなく、マークがついているかどうかを確認するとよい。低ナトリウム食品という表示も参考になる。

一方、健康な人でも塩分は抑えたほうがよい。日本人は塩分をとりすぎる傾向にあり、とくに加工食品から摂取している割合が高い。食塩の一日の目標摂取量は、10グラム以下だ。塩分(ナトリウム)に換算すると、わずか4グラム(4000ミリグラム)である。

550ミリグラム含まれているポテトチップスを一袋食べると、目標摂取量の約14%も摂取したことになってしまう。
いずれにしても、少しでも塩分をひかえたいなら、「味」がつくものではなく、つかない「うす塩」や「減塩」のほうがはるかに安心だ。くれぐれも「味つき表示にはご用心」を。




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