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下がり続ける食料自給率
いま、わが国の食料自給率は下がり続け、2006年度の自給率40%。一方、一年間に届出件数で186万件、重量で3410万トンの食料が海外から運び込まれています。国民の食料は実に1年のうち7か月分は海外に依存しています。

その輸入食料の安全検査を水際で担当している厚生労働省(厚労省)の検疫所の検査官「食品衛生監視員」は、全国で31か所・341人の体制です。この体制では、輸入食料の10.7%しか検査ができていません。90%近い輸入食料は、届け出るだけで水際で検査もされず国内に引き取られ、私たちの胃袋におさまってしまうのです。抜け穴だらけの水際検査体制です。その結果、食品汚染が広がり、食品の安全に対しての国民の不安が深刻になっています。

食料自給率40%という「不安」
日本の食料自給率は40%である。しかし、私たちの日常の食生活では、そのことを自党させるような状況にはなっていない。
スーパーには食料品があふれ、外食産業やコンビニで手軽に食事を済ませることが出来る。

まさしく、飽食の時代といえる。しかし、確実に私たちは輸入食品に取り囲まれている。それに気が付かないだけである。
日本は世界最大の食料輸入大国なのである。食品の安全性は、私たちの最も関心の高い問題である。当然、流通している食品は、食品の安全性が確保されているという前提で、私たちは食品を購入している。
しかし、輸入食品に関して言えば、その9割が輸入時の検査を受けずに輸入され、日本国内に流通しているのである。

だから、横浜の学校給食に提供される予定だった中国産きくらげから、基準を超える残留農薬が検出され、全国を震憾させるのである。世界最大の食料輸入大国にもかかわらず、輸入食品の国の検在体制を支える人員は、全国でわずか341人の食品衛生監視員しかいないのである。

今、中国産輸入食品の安全性問題が世界的に問題になっている。
前述した残留農薬違反のきくらげや、危険物質が検出されたウナギの蒲焼きなど、中国からの輸入食品に安全性の面で問題があるのは事実である。違反件数が他国のものより多いのも事実だ。

しかし、日本の輸入食品検査体制が、しっかり確立されていれば私たちの食生活に脅威を与えることはない、とも言える。
中国食品の実態を知ることも重要だが、日本の輸入食品検査体制のお粗末さこそ、目を注がなければならない。
輸入食品の安全性の脅威から日本国民を守っている食品衛生監視員は、わずか341人である。これでいいはずはない。

食料自給率40%の怖さを私たちが知る機会は今のところない。
しかし、世界の食料事情は厳しさを増している。その背景は、地球温暖化の進行とその対策として進められているトウモロコシやサトウキビを原料として生産されるバイオエタノール、そして世界的な食料争奪戦の激化である。

その結果、輸入食料の確保は、従来以上に厳しくなってきている。それは、輸入食料の価格の上昇という形で日本に波及しているのである。価格上昇で収まる保証はない。地球温暖化の進行による異常気象の頻発で輸入食料の途絶という事態も現実味を帯びてきているのである。



輸入農産物の実態が知りたい
その中で感じるのは、輸入食料が海外から運び込まれる港に国民の関心が向き始めている、ということです。

そして、神戸、大阪、名古屋、横浜など全国各地の港に輸入農産物の実態が知りたいと見学に訪れるグループが増えています。
たとえば、神戸港には、広島や島根の中山間地からバスを仕立てて朝6時に出発し、5時間かけてやってきます。北海道からもやってきます。十勝や幕別の生産者です。前日からの泊まりがけです。

トンガから、ニューカレドニアから、ニュージーランドから、メキシコから、少しずつ時期をずらして港の倉庫に運び込まれるカボチャの山を見て、驚きの声をあげます。
クレートと呼ばれる木枠に詰め込まれた500キロ単位のカボチャが、専用船から次から次へと陸揚げされる光景には、みんな釘付け状態です。

ブロッコリーは、国内消費の50%以上が輸入です。アメリカ産が大半です。アメリカから11日間の航海日数をかけて、細かく砕いた氷詰め状態で運ばれてきます。

バナナもやってきます。フィリピン、エクアドル、台湾が上位三か国です。バナナは緑色の状態で輸入されます。黄色く完熟したものは輸入できません。バナナが港に到着すると、農林水産省(農水省)の植物防疫官がまず最初に病害虫の検査をします。検査の結果、病害虫が確認されると、港の岸壁に隣接しているくん蒸倉庫に搬入し、倉庫を密閉し、外から青酸ガスを送り込み、虫退治、くん蒸処理(いぶしたり、蒸したりする処理)をします。

青いバナナは食べられませんので、次に高温の室に移動し、エチレンガスを使って人工的に熟成させます。ほど良く熟成したものが市場に出回っています。まさに農は港にあり、食は港にありの光景です。


食べ物をめぐる異常な環境
最近、残念なことに悲しい出来事が次々と起きています。幼い子どもたちが傷つけられる事件が相次いでいます。本来、生き物は親や大人が幼い命、あるいは弱い立場の子どもたちを本能的に保護します。ところが、わざわざ幼い子を選んで傷つける事件が相次ぐというのは、その取り巻く環境がきわめて異常になっていることを示しています。
私たちの食べ物をめぐる環境はどうでしょうか。残念ながら、これも例外ではなく、きわめて異常な環境におかれています。

食料自給率の低下
まず、先にも述べたように、食料自給率(カロリーベース)が、39%ときわめて低いことです。
農水省は、2005年の食料自給率を39.7%と発表しましたが、四捨五入して40%ということです。これは1998年に40%と落ち込んで以来8年連続して落ち込んだままです。かつて私たちの国の食料自給率は、80%ありました。40年間でちょうど半分に減ってしまいました。2006年はついに39%に下がってしまいました。

食べ物のなかで最も大切な穀物の自給率は、なんと27%です。これは、テレビや新聞で食糧不足が報道されている北朝鮮の自給率の半分以下です。戦争の爪痕も生々しく、国土全体が乾ききっているアフガニスタンよりもはるかに低いのです。砂漠地帯かツンドラ地帯なみの穀物自給率です。

農水省は当初、2010年までに45%にしたいと言っていましたが、そういう努力の跡もなく見込みもまったくないものですから、2015年までには何とか実現したいと期限を先延ばしにしました。2006年はその実行の二年目でしたが、39%になってしまったのです。

自給率が低いだけでなく、もうひとつ言えるのは、国民の食料の大半を特定の限られた国に頼っているのが大きな特徴です。小麦が87%、大豆が96%、トウモロコシはほぼ100%海外に頼っていますが、そのほとんどはアメリカ依存です。家畜の飼料にいたっては全面的にアメリカに頼っています。非常に偏った依存の仕方です。日本の味も結局はアメリカ頼みになっています。
かつて、19世紀のヨーロッパでは、国民一人養うのに1.5へクタールの農地が必要でした。

その同じ頃、日本は江戸時代です。その日本では1.5ヘクタールで15人の人が養えました。なぜこういう違いがあったのでしょうか。江戸時代は、水田・米作りを特に大事にしたことによります。しかも、水田中心の農業は、地球環境を守るという点でも世界のお手本のような役割を果たしていました。国民の食料は可能な限り日本の大地でまかなう。間違っても他国の農地は略奪しない。こういうことをとても大事にしてきました。

それが百数十年以上経ったいま、世の中はいろいろな面ですすんでいるにもかかわらず、食料自給率は40%以下に落ち込んでしまっているのです。いま私たちは、真夜中でもお腹がすけばコンビニに走り、お酒でもお弁当でも買ってきて食べることができます。高級な自動車も乗り回すことができます。スイッチひとつでご飯も炊け、風呂も沸き、洗濯もできます。きわめて効率的で便利な社会に住んでいます。
しかしもう一方では、生活するうえで最も大切な食料を自分たちの手で作ることを止めてしまって、60%以上を海外の人たちに依存してしまっています。きわめてバランスの悪い生活を強いられています。
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