目次

1.ウコン
ウコンといえば「飲み過ぎ・二日酔いに効く」が定評のようで、飲み会の前にはドリンク剤を飲んで出陣!という人も多いとか。

今ウコンは健康食品としてモテモテで、形態も穎粒、粉末、錠剤、カプセルのほか、茶葉をそのまま煎じるもの、また前記のようなドリンクも出回っています。

そのウコン、東南アジアを原産とするショウガ科の多年草で、その根茎が古くからインドや中国、あるいは日本でも肝臓や胃腸に効く生薬として用いられてきました。

英語名はターメリックで、香辛料や着色料としても利用され、カレー特有の黄色い色はウコン(の主成分クルクミン)によるもの。タクアンの色づけにも使われています。

秋ウコン、春ウコン、紫ウコンとあり、それぞれ成分も違いますが、一般にウコンといわれているのは秋ウコンなので、ここでは秋ウコン=ウコンとして書きます。

さて有効成分は、おもにこの黄色い色素クルクミンとされており、「肝機能を高める」「消化不良の改善」「抗酸化作用がある」「発ガンを抑制する」などといわれていますが、検証結果はどうでしょうか。

国立健康・栄養研究所の素材情報データベースを見ると、ウコンについてもクルクミンについても、試験管内や動物実験ではかなり実証データがあるのはわかりますが、ヒト試験では「消化不良に対しては一部にヒトでの有効性が示唆されているが、信頼できるデータは十分ではない」とのこと。

「消化不良に対して?」というのは、「消化不良の患者116名にウコン製剤を投与したところ、症状の改善がみられた」との症例があることを指しているのでしょう。

ウコンが胃液分泌を高め、胃の粘膜を保護するためと思われますが、ドイツの薬用植物の評価委員会コミッションでは、ウコンの消化機能不全への使用を承認し、摂取量も「平均1.5~3g/日」としています。

しかしこれは、「同委員会の承認ハーブ(医薬品)」に限っての話なので、これをもってウコン効果が証明されたとはいえません。日本で出回っているウコンの品質は玉石混清、それも食品としてなので(「生薬」も医薬品の範疇ではない)、摂取量についての決まりもないのです。


2.肝臓が弱い人は要注意!
一番知りたいのは「ウコンが肝臓によい」とのヒト試験結果ですが、これもほとんどないのが現状といえます。しかし、クルクミンが胆汁分泌を活発にすることは実験的にわかっているので「それが肝機能を高める→アルコールの分解力もアップさせる」ということなのでしょう。

このことでは、人気商品ウコンのメーカーに聞いてみると「公表していないが、当社なりのデータはある」とのこと。いずれにしろヒトでの検証結果がない=効果がないことでなく、まだ研究がされていないと解釈すべきなのでしょう。

ウコンは前に記したように肝機能増強だけでなく抗酸化作用や発ガン抑制作用などさまざまな効果が期待されており、また主成分のクルクミンは、緑茶のカテキンや大豆イソフラボンと同じポリフェノールの仲間です。それに、ウコン効果にはクルクミン以外の成分も関与しているといわれます。ヒト試験での実証結果が早く出ることを願うばかりです。

ところで安全性については、「肝硬変を患っていた女性が医者に内緒で粉末ウコンを飲んでいて症状が悪化。死に至った」(2004年)という例があります。これに限らずウコンは、肝障害との関連が指摘されることが多く、2003年に日本肝臓学会が行った調査によれば、サプリメントによる薬物性肝障害的件のうち、最も多かったものがウコンだったとか。

とくに肝機能が弱まっているときに飲むとよくないし、また過剰摂取はそれに拍車をかけることになるのでくれぐれも注意を。

日本では食品としてなので摂取量についての決まりはないと書きましたが、日本健康・栄養食品協会の基準では、1日の摂取目安量を「ウコンとして0.5~5g」に。

幅をもたせたのはウコンの品質がバラバラで、クルクミンの含有量もいろいろだからだそうです。
しかし市場に出回っているウコン製品は、まったくいろいろです。
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