国産野菜と輸入野菜の環境や農薬など安全度を比較してみた

国産野菜と輸入野菜の比較
「国産」のイメージに惑わされてはいないか
国産野菜と輸入野菜を比較したとき、われわれはなんとなく、「輸入野菜は不安。国産なら安心」と思っていないだろうか。なぜだろう。本当にそうなのか、一つ一つ検証してみよう。

①国内の産地は「顔が見える」という錯覚
アメリカ産や中国産といわれても、あの広い国のどこで収穫されたのか見当もつかない。かといって州や都市の名前を書かれても、ますますわからなくなる。

日本の場合はどうだろう。たしかに都道府県くらいなら、大体の位置は想像がつく。しかし、市町村や高原などの地域名をいわれても、そこがどこなのかはよくわからない人も多いだろう。

つまり、国内の地名が書かれていても、その場所を知っているわけではない。ましてや、その地域で誰がどのように栽培しているのかなど想像もできない。国産だからといって「顔が見えている」わけではないのだ。


②外国産はどんな環境、どんな方法で作っているかわからないという先入観
外国の栽培環境がわからないのは事実だが、かといって日本でも、どんな環境のもとで、どんな方法で栽培されたのかは、実際にはよくわからない。たとえばアメリカと日本とを比べて、どちらが野菜を栽培するのに適した環境だろう。気候や土地の広さ、きれいな空気、どれをとってもアメリカは日本よりは農業に適した環境といえるのではないか。

栽培方法でも、アメリカは有機栽培かそれ以外かの2つしかないが、日本では、農薬が含まれていても無農薬と表示できる。実際どのくらい農薬が少ないのかわからない減農薬とか低農薬といった表現も含め、なんら法律上の制約がないので、自由に使われているのだ。そのため紛らわしい表現が多く、かえって栽培の実態を消費者に隠しているといえる。日本では、法律で規定されているのは有機栽培だけである。


③遠い外国より近い国内のほうが新鮮だという思い込み
工場生産の加工品ではない自然作物の野菜が、「どうしていつも同じ数量小売店の店頭に並んでいるのだろう」と疑問に思ったことはないだろうか。

日本では、スーパーなどの小売店や青果市場で在庫を持つことはない。しかし、生産農家は毎日適正数量(市場や小売店が要求する数量)を出荷しなければならない。出荷量は多すぎても少なすぎてもダメだ。そうはいっても、作物は定期的に適量収穫できるものではない。

実は、生産地には農協などの大きな保冷倉庫がある。大量に収穫したときにここに保管し、市場の要求を見ながら順次出荷していくのだ。これが、毎日同じ数量の野菜が店頭に並ぶからくりだ。逆にいえば、いつとれたかわからない野菜が並んでいるということでもある。もちろん、一か月前に収穫した野菜が並ぶわけではないが、一週間くらい前のものは並ぶことになる。

一方の輸入野菜は、遠いからたしかに時間はかかるが、ブロッコリーを氷詰めにしたり、アスパラガスを冷水につけたりと、さまざまな工夫がされて輸送してくる。
日本でも、すべての野菜が保冷倉庫に保管されているわけではないが、保冷倉庫で出荷調整される多くの国産野菜と、温度管理された船で運ばれてくる輸入野菜とでは、鮮度についてはどちらもほとんど差はないといえる。


④燻蒸処理される輸入野菜のほうが農薬が多いという誤解
輸入野菜は通関の際、抜き取り検査だが必ず安全検査が行われる。その際、害虫などの心配がある場合だけ、たしかに青酸ガスや臭化メチルで燻蒸処理される。しかし、その結果市場に流通させるのは、厚生労働省の残留農薬基準を満たしたものだけだ。つまり、国産野菜と同じ基準が適用されている。

国産野菜も、農薬を使っていないわけではない。というより、国産の有機野菜をほとんど見かけないという事実からも、農薬を使っている野菜のほうがはるかに多いことがわかる。しかも神奈川県の1998年(平成10年)度の検査結果によると、残留農薬基準違反で販売を禁止された農産物は、すべて国産野菜だった。

もちろん、すべての国産および輸入野菜が検査されるわけではないが、輸入野菜も国産野菜も、国内では同じ安全基準で販売されている。輸入野菜のほうが農薬が多く含まれているということはないのだ。

また、食品の輸入依存率が高くなったといっても、農産物では小麦や大豆、トウモロコシなどが高いのであって、野菜は1998年で16%でしかない。圧倒的に多く流通している国産野菜の実態を、われわれが知らないだけなのだ。


⑤日本の農家が同じ日本人向けにひどいことはしていないという思い込み
ある通販のパンフレットでは、「つくった人も食べている」ので安全だと宣伝している。これを逆に解釈すれば、ほかの農家では、自分たちの食べるものと出荷するものを区別しているといっているのだ。

「ナスを出荷する際に、農薬液の入った大きな樽のなかにナスをつけるのを見て、ぞっとした」といったマスコミ関係者の話を聞いたこともある。

また、農薬や化学肥料で国内の土壌や河川が汚染され、健康への影響や環境問題が取り上げられている。

もちろん、一部には消費者の健康や環境汚染を心配して、農薬や化学肥料を使わずに栽培している良心的な農家もあるし、こうした問題のすべてが日本の農家のせいだとは思わないが、責任の一端はあるだろう。われわれ消費者は、日本の農業の実態をしっかり把握しているわけではない。ただなんとなく国産野菜は安心だと思っているに過ぎない。

われわれは、いちいち農家を見て回るわけにはいかない。国産か輸入かというよりも、栽培方法や農薬の使用実態などの情報を豊富に提供してくれる農家や小売店が、一番安心だということだ。

残留農薬検査結果からわかった意外な事実
生鮮野菜の場合、安全性で一番気になるのは、やはり残留農薬だろう。前述の神奈川県の検査と同様、東京都の残留農薬検査結果を見ると、意外な事実がわかる。

1998年度の生鮮野菜の検査結果では、国内の35種類201品のうち、農薬が検出されたのが「キャベツ(4)」「きゅうり(5)」「トマト(5)」「ピーマン(3)」「ベカナ(1)」「セロリ(1)」の6種類から19件。輸入品は、34種類117品を検査したうち「パプリカ(2)」「おくら(1)」「きぬさや(3)」の3種類から6件だった(件数は、一つの野菜から2種類の農薬が検出された場合は2件としている)。

平成11年度では、国内の39種類189品のうち、検出されたのが「いんげん(5)」「かぼちゃ(2)」「きゅうり(6)」「小松菜T )」「トマト(4)」「なす(4)」「ピーマン(9)」「レタス(4)」の8種類35件。輸入品は、37種類127品を検査したが一つも検出されていない。

「国産より輸入野菜のほうが農薬が心配だ」と思っている人も多いだろうが、この検査結果からすると、むしろ国内の野菜のほうが心配そうだ。

また輸入野菜は、たとえば気候の影響で国内の収穫量が落ちたときに中国などから緊急輸入するような場合でも、農薬や回虫のなどの検査が厳しく行われている。税関という防波堤もある。国産野菜も、ある程度の検査は行われているが、輸入野菜に比べ流通量も圧倒的に多く、税関のような防波堤もない。

こうして見てみると、国産野菜のほうが安心だとは決して言い切れない。かといって、輸入野菜のほうが安心だともいえないが、国産と同等か、あるいはそれ以上には安心して食べてよいということだ。



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