「食」市場の構成と食品工場
食をつくる場所とは、家庭のなかか家庭の外である。家庭でつくり家庭のなかで食べるのは、一般に「食事」といわれている。この市場は最も大きな市場といえる。生活者の多くは日常生活において、朝食と夕食は家庭のなかで食事として利用している。近代社会では、昼食も含めてほとんどが家庭食であった。

家庭のなかでつくり家庭の外で食べるのが「弁当」である。今日のわが国ではともかく、第二次大戦前のわが国の場合、昼食は弁当が一般的であった。労働者にあっては「腰弁」などと呼んでいた。

昼食における弁当スタイルを変えたのが「給食」である。給食そのものの原型は、歴史的にはかなり古いが、本格化するのは第二次世界大戦以降である。本格化の第一号が「学校給食」である。学校給食についてはいろいろの問題もあるが、ともかく戦後の危機的状況にあったわが国の児童は、これに救われたといえる。

学校給食に続いて、50年代になると、「事業所給食」が各地に登場してくる。初めの頃は、食糧不足により、昼食を抜く労働者がいるため、これらの者の労力低下を防ぐために採用された。さらに高度成長期になると、各地に建設された大規模工場において、「社員食堂」あるいは「社内食堂」として、事業所給食は従業員厚生施設の一部となっていた。

弁当については、かなりの部分が学校給食や事業所給食に代わる。今日、弁当を持ってくる者は、幼稚園児や高校、大学、専門学校等の女子学生、それに一部のサラリーマンくらいである。もっとも、最近は高校、大学、専門学校の女子学生であっても、弁当持参者は少ないようだ。

家庭の外でつくり家庭の外で食べるのは、一般に「外食」といわれている。今日、最も成長の著しい部門である。外食はその利用方式によって、飲食施設、宿泊施設、給食施設とに区分される。

家庭の外でつくり、なかに持ち込んで食べるのが、一つは「店屋もの」であり、もう一つは「総菜品」である。前者は丼もの等と呼ばれ、一般に主食的な食であり、後者は文字どおり総菜である。もっとも、最近ではこのような区分はむずかしくなっている。

これらを含めて、最近では「中食」という言葉が利用されている。だが、中食については明確な定義がない。中食産業という言葉はあるが、一つの産業として、いまだ認知されたものではない。だが、スーパーやデパート、それにコンビニエンス・ストアでの総菜品は確実に増加しており、食生活のなかでその地位を高めている。

「食」市場は、このように4つのタイプに区分されるが、いずれのタイプでも加工食品が食の中心となっている。たとえば幕の内弁当では、玉子焼、焼魚、かまぼこが三大総菜といわれるが、これらはすべて食品工業によって提供されている。

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