目次

1.ISOとは何か

ISOはスイスのジュネーブにある「国際機構」ISOはスイスのジュネーブにある「国際機構」です。ヨーロッパは文化や国が多いので「国際」とつく機関は、だいたいヨーロッパにあります。ISOはJIS(日本工業規格=日本国内の規格)の国際版です。正確には、JISがISOの日本版とも言えます。なので「国際的に統一しておいた方がいい」というような内容を規格化するのが大きな役割です。

2.規格のあれこれ
(1)世界規格様々な規格団体のうえに成り立つ国際的標準化団体として、
①ISO:国際標準化機構
②IEC:国際電気標準会議の2団体があります。IECが電気工業界の規格を定め、ISOは、おなじみのISO9001をはじめとして工業界に留まらぬ標準規格を制定している団体です。決まりとして、各国の代表標準化機関(日本はJISC日本工業標準調査会)が参集して、国際規格を制定します。

それぞれ
TC:専門委員会
SC:分科委員会
WG:作業部会
などが新しい規格を審議するのですが、政治的な側面も多々あります。日本は、標準規格化の重要性が殆ど理解されていないせいか、この分野で弱いです。ちなみに、ISO規格数は19000以上、IEC規格数は5000ほどのようです。

(2)地域規格有名な地域規格は、EN欧州規格です。もともとEU欧州連合の政府である欧州委員会のなかのCEN(欧州標準化委員会)、CENELEC(欧州電気標準化委員会:ここでも電気が独立してる)が定めた、EU内の全31団体の規格の取りまとめ役的な存在です。
(3)各国規格上記のとおり、各国にひとつ代表となる標準化機関があります。日本でお馴染みなのは、アメリカのANSI、イギリスのBS、ドイツのDIN、中国のGB(国標:国家標準の略の頭文字)、ロシアのGOSTですかね。しかし勿論、これら以外の各国にも標準化機関があり標準を作りまくり、そのうえに有力な機関が複数ある国もあります。たとえば中国GB規格は工業以外も含む規格ですが、2001年時点(古)で19000ありました。JISは、日本の国家規格です。しかし工業規格ですから、JAS日本農林規格などは含みませんが、今現在10000規格ほどです。

(4)業界規格もともとの規格の由来は、企業・業界のなかの決まり事でしたから、一番古い規格とも言えます。どの規格が一番古いか等はもう誰にも言えないと思いますが、もっとも規格の歴史の古い国のひとつ、アメリカの国家機関ANSIが次の団体から出来たことが、当時の主要規格を示すものと言えるかも知れません。

・米国電気学会 (AIEE)現IEEE
・米国機械工学会 (ASME)
・米国土木学会 (ASCE)
・米国鉱山技師協会 (AIME)
・米国材料試験協会 (ASTM)ちなみに、現在ASTMだけでも12000規格あります。ではどのようなものが規格されてるかというと、代表的なものに「クレジットカード」や「ゴルフボール」「ボルト」等の規格があります。クレジットカードの場合、発行してる会社や国によって、大きさや中身が異なっては使い勝手が悪いです。

なので、カードの仕様について標準化、規格化しています。ゴルフボールやボルト等もしかり、です。対するに「物」ではなく「サービス」や「組織体制、ルール、枠組み」に対する規格もあります。サービスの場合、「○○のメンテナンス方法」とか、「○○の仕上げ方法」とか。簡単なルールでも文書があり、守った記録(これも簡単なものでもいい)があり、改善の努力が継続して行われていればいいのです。

逆に、幾ら分厚いルールでも、機能していなければ「よろしくない」という結果になります。実際に取得されているISO9001は、品質保証の規格です。(顧客満足度向上の規格と称していますが、実態は品質保証の規格です)要するに、お客から提示された仕様通りに製品を間違いなく作って提供することを確実にするための、管理の枠組みです。ISO14001は、環境汚染の予防を確実にするための管理の枠組みの規格です。


3.ISOと食品安全

ISO22000は食品安全の国際規格です。取得しておくと、消費者への信用度が増すと思います。他のISOシリーズと比べてというより、さらに取得するといいと思います。食品工場でしたら、品質マネジメントシステムのISO9001や環境マネジメントシステムISO14001も取得してもいいと思います。
ISO22000は、従来のHACCP(技術的要素が高い)とISO9001(品質マネジメントシステム)を併せ持ったものであると言えるかも知れません。凄い事かと聞かれたら、ISO22000だけでは、食品安全だけですので、顧客満足(安全だが不味い)が考慮されることはないので大したことはないともいえます。

最近の審査の傾向は、企業の不祥事を受けて厳しくなってきています。審査員にとって顧客は、かつてはクライアントに向いていたが、今は審査員にとっての顧客は市場となってきています。

4.ISO規格に登録するには
1)具体的にすることISO審査機関に申し込み、審査を受ける。それだけです。特に事前準備などは不要です。内部監査やマネジメントレビューなどの運用実績が必要であるという審査機関もありますが、そのようないい加減なことをいう審査機関は避けた方が賢明です。

2)利点審査に合格すれば、その審査機関に認証登録されて、その旨を外部に公表できます。具体的には、製造業ならお客が要求した通りに製品を作る仕組みがあり、注文通りの製品を作ってくれるだろうという「心証」を、運送業ならお客が指定した通りに品物を運ぶ仕組みがあり、指定通りに品物を運んでくれるだろうという「心証」を、お客に与えることができます。

3)欠点あくまで「心証」を与えるだけであって、審査機関がそれを保証するわけでも、あなたの会社にその能力があることを証明するわけでもありませんから、お客がそれ(認証の有効性)を信用しなければそれまでのことです。なお、ISO9001認証やISO14001認証を取引条件にすることは、独禁法違反にあたります。

4)その他手順を守れば事故は起こらず不良も減ると回答している人がいますが、それはその手順やインプットが正しい場合です。手順が間違っていれば、あるいはインプットが正しくなければ、事故は発生し、不良が出ます。見方を変えれば、不良発生を防止する正しい手順で作らなければ、不良品が出来上がります。粗悪な原料を使って作られた製品は粗悪品であって、高品質な製品であるはずがありません。

そして、ISO審査では手順が間違っていないかやインプットが正しいかなどは調べません。手順が定められていて、その通りに仕事をしているかどうかを調べるだけです。ましてや、鉛筆がダメで訂正印が必須とかいうのはその会社独自の決まりであって、ISO規格にそのような規定はどこにもありません。製品の誤表示を防ぐのは、会社あるいは社員のモラルや遵法意識であり、ISO認証を取得しているかどうかは、まったく無関係です。

ISO認証を取得していながら誤表示や偽装問題を引き起こした会社はいくらでもあります。ISO認証を取得することで、品質や顧客満足が向上するという誤解が世の中に蔓延しているようですが、これらは大きな間違いです。

ISO規格番号ISO9000・・・・・(ファミリー、シリーズの総称)品質マネジメントシステムに関する規格の総称で、中核の規格が、ISO9001です。

ISO14000・・・・・(ファミリー、シリーズの総称)環境マネジメントシステムに関する規格の総称で、中心の規格が、ISO14000です。番号、公開されていないようですが、元ISO委員の方から、9のいわれは00とか14000の番号は、その格を扱う委員会の番号か0ら来ており、9番は品質マネジ規ント委員会、14番は環境マメネジメント委員会という風になっています。

▼例ISO9001・・・品質マネジメントシステム・顧客に品質のよいモノやサービスを提供すること。顧客満足が目的。ISO14001・・・環境マネジメントシステム・環境に悪影響を与えないようにすること。環境保全が目的。ISO22000・・・食品安全マネジメントシステム・消費者に安全な食品を消費者に届けることが目的。ISO27001・・・情報セキュリティマネジメントシステム・情報の漏洩等を防ぐことが目的。




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