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1.こんなにも多い虚偽・誇大広告
ここに東京都が毎年実施している「健康食品試買調査」の2009年度の結果があります。それによると、「販売店での購入品もインターネット等通信販売での購入品でも、それぞれ不適正な表示・広告が見られた」とのこと。

改善を勧告された表示例を多い順にあげると、「関節機能の維持・改善」「ダイエット効果」「視力回復」「頭髪増毛」など。これは健康食品としての規制はなくても食品としての規制は受けるからで、また、効果・効能をうたうと薬事法違反にもなるからです。

どこまでを虚偽・誇大というかは難しいところですが、インターネット上は「○○に効く」「△△が治る」等々、食品であればうたってはいけないはずの効果・効能のオンパレード。まさに無法地帯さながらです。

折も折、消費者庁がネットでの健康食品広告の実態調査をした結果が発表されました。それによると、「2009年の6~8月にインターネットで、ガン、糖尿病、肝炎、心臓病などの疾病名をキーワードに検索したところ、虚偽や誇大表示の疑いがある広告が547件あった。

同庁は問題表示について、それらを掲載している販売サイトの運営事業者に削除または修正するようメールを送った」とのこと。たった3ヶ月間でこの数ということは、常時、食品名か商品名で検索したらおそらく膨大な数になるはず。それなのに、改善指導が「運営事業者にメールを送った」ではあまりに手ぬるい。いっそ広告の内容や会社名を公表しては、と思うのですが。

また、健康食品の広告には体験談がつきものですが、これはほとんどがねつ造といってよいでしょう。中にはこういう話も。「健康食品会社に勤める知り合いから頼まれて顔写真を貸した。名前は仮名にするし、迷惑はかけないから」と言われたそうなのです。そしてできあがったのを見ると、「いかにも自分が話したように書いてあったので、驚いた」とのこと。

有名人の「私も飲んでます!」式の体験談も、広告に出ることが決まってからあわてて飲み始めた人が多いのではないでしょうか。体験談とともに迫力があるのは、使用前・使用後の写真ですが、コンピューター処理で左右に伸縮したものが大半。公正取引委員会はこれまで何度も警告を発し、摘発もしているようですが。

これに限らず「飲むだけ、食べるだけで○キロやせる」といった広告はまずインチキと思ったほうがよい。食事制限も運動もなしにやせられる方法などありはしません。
うまい話はないのです。

「○○は体にいい」とか「○○を食べれば健康になれる」という情報も、総じてマユツバです。栄養的にいえば、1つの食品にすべての栄養素が、それもバランスよく含まれるものなどあり得ない。だからこそ食事は、あれこれ組み合わせて量もほどよく食べることが大事なのです。

健康食品は「効く」とは書けないにしても、消費者にいかにそう思わせるかが勝負とあって、ネーミングや宣伝コピーには各社工夫を凝らしています。「イキイキ元気なあなたに」と書いてあるのを見て、「これを飲むとそうなるのだ!」などと勝手に解釈することのないように。作る側の意図を思いやって、その手には乗らないこと

客観的、批判的に見る目も養っておきたいですね。


2.なぜ値段にバラツキがあるのか?
健康食品の場合、値段にバラツキが大きく、値段の高い品が必ずしも有効成分が多いわけではありません。それにだいたい、有効成分がどれだけ入っているかもわからないものがある(食品なので、書かなくても違反ではない)。

要するに、有効成分の量がわからず値段も不明瞭なのです。まして高いほうが効くといった保証などまったくありません。ということは、健康食品という名のもとに高いものを買わされる可能性も大ありなのです。

値段のバラツキといいましたが、ちなみに同じ1ヶ月分で、コエンザイムQ10では、1200~6090円と高いのと安いのとで約5倍の差。イチョウ葉エキスでは、6品調べたうち892~9660円の差がありました。

配合成分や1日当たりの摂取目安量が違うとしても、この差はどこからくるのでしょう。また最近は100円ショップでもサプリメントを売っており、2袋で1ヶ月分となっている。これはさすがに有効成分も少ないようですが。

通信販売では「試供品」や「お試し価格」と銘打って客寄せをしていますが、割引率の高さも気になります。これでは定価などないに等しく、商品として信頼できない気がします。

健康食品の値段の比較で忘れてならないのは、同じ成分を含む普通食品との比較です。ためしに、セサミン摂取においてはゴマとの比較をしてみてください。イソフラボンサブリと豆腐や納豆との比較もしかり、プルーンエキスと粒のプルーンとの比較もしかりです。他の栄養素も含む普通食品のよさを再認識されることでしょう。

普通食品との比較では、健康食品のまずさも強調しておきたいこと。
薬なら、治療という目的のためにはまずくても我慢しますが、健康食品は我慢してまで……という気には、とうてい私はなりません。
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