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プロポリスやローヤルゼリーってよくテレビで聞くけど実際はどうなの
目次
プロポリスって効果があるの?
1.
プロポリスとは、ハチミツ、ローヤルゼリーと同じくミツバチの生産物ですが、もともと食べ物ではなく、巣を作ったり補強するための樹脂状の物質(ハチャニ)。集めてきた植物の新芽や樹液に自らの唾液や分泌物を混ぜて作り出したもので、ミツバチはこれを巣のすき間や出入り口に塗りつけて雨や風を防いだり、侵入してきた外敵(昆虫など)の死骸が腐るのも防止していると考えられています。歴史は古く、古代エジプトではミイラの防腐剤として利用されていたといわれ、また東ヨーロッパでは外用剤として長く民間療法に使われていたとか。
日本に紹介されたのは比較的新しく1980年代半ば頃ですが、「天然の抗生物質」とか「ガンや成人病(生活習慣病)に効く」とのセールストークが功を奏したか、あっという間に市場を席巻した感じ。消費者センターへの苦情もいつの間にかローヤルゼリーを上回り、ここ数年はクロレラの次がプロポリスといってよいほどです。
1987年には(社)日本プロポリス協議会ができて規格基準も作りましたが、成分が産地や抽出方法によっても違うせいか、いまだ品質のバラツキは大きいようです。
ただ一般的な成分としては、酵素類や栄養成分であるアミノ酸、ビタミン、ミネラル類などで、有効成分といわれているのは、桂皮酸誘導体(アルテピリンCやP‐クマル酸など)とポリフェノールの仲間であるフラボノイドです。アルテピリンCは異常細胞の増殖を抑制する、P‐クマル酸もある種の菌の抑制作用があるといわれ、フラボノイドも強い抗酸化作用が認められています。
しかしメカニズムの解明にはまだ至っていないようで、プロポリスは「抗菌作用がある」「炎症を抑える」などといわれていますが、実証データとなると「一部でヒトでの有効性が示唆されているが、参考となる十分なデータは見当たらない」(国立健康・栄養研究所の素材情報データベース)とか。
「一部でヒトでの有効性」というのは、「口腔内手術後の治癒」や「ヘルペス感染再発部の治癒」に役立ったことを指しているようです。
また「風邪や新型インフルエンザに効く」という説もありますが、実証データは不足していますし、もし実際に効果があったとしても医薬品ではないので、これをPRコピーに使うと薬事法違反になります。
それとプロポリスは、アガリクスと並んで抗ガン作用がもてはやされていますが、これもまだヒト試験での実証結果はないようです。
2.ローヤルゼリーに含まれるデセン酸の効果は
各地の消費者センターに寄せられた健康食品の苦情の中でかつて「最も多かったのはクロレラ」と書きましたが、ローヤルゼリーもその次くらいだったと記憶しています。しかし業界で1987年に(社)全国ローヤルゼリー公正取引協議会を立ち上げ「公正競争規約」を作ったことや、特定商取引法など法整備が整ったこともあって、この年はかなり減っています。とはいえ例年、クロレラ、プロポリスについで上位を占めているのがローヤルゼリーです。
さてそのローヤルゼリーですが、これは働きバチの咽頭腺から分泌される乳白色のゼリー状の物質で、女王バチ専用の餌となるもの。ハチミツを主食とする働きバチの寿命はたった1ヶ月なのに、ローヤルゼリーだけを食べて成長した女王バチは寿命も3~5年と長く、体の大きさも働きバチの約3倍。しかも最盛期には1日2000個以上の卵を生むそうで、そうしたことからローヤルゼリーは不老長寿、滋養強壮に効果ありとして注目されるようになったのです。
成分は、水分が主で、栄養素もいろいろ含まれていますが、中でもローヤルゼリーならではの活性成分として認められているのが、脂肪酸の一種、デセン酸です。
さらに解明されていない未知の成分があるのではといわれ、これはR物質(ローヤルゼリーのRをとって)と名付けられているとか。
肝心の効果については、「体質改善」「若返りに役立つ」「免疫力を向上させる」などといわれており、研究もいろいろされているようですが、まだ動物実験の段階で、ヒトでの有効性については確たるものがないようです。
そうした実情を踏まえ、前記のローヤルゼリー協議会は大学に研究を委託したりもしていますが、開示しているデータはやはり主として動物実験。山田養蜂場のミツバチ健康科学研究所のデータでは、ヒト試験で「更年期のヒトには効果があるかも」というのが一つありましたが、他は動物実験で「効果が示唆されている」というものでした。
つまるところ、可能性はあるが今後の研究結果を待つほかないということなのでしょう。取材を進める中で印象的だったのが、ある人の次の台詞。「だいたい科学的に根拠が証明されれば薬品として売り出しますよ」。
そう、検証結果がしかと出ていないから健康食品なのですよね。しからば、そうした暖昧としたものにお金を出すかどうか。
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