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飼料安全法の目的や食鳥検査法についての詳しい解説
飼料安全法の目的や食鳥検査法についての詳しい解説
1.食料・農業・農村基本法背景
昭和36(1961)年に制定された旧農業基本法は、その当時の社会経済の動向や見通しを踏まえて、わが国農業の向かうべき道すじを明らかにするものとして制定されたが、その後我が国経済社会が急速な経済成長、国際化の著しい進展等により大きな変化を遂げる中で、わが国食料。農業・農村をめぐる状況は大きく変化していった。
すなわち、成果を上げた面がある一方で、食料自給率の低下、農業者の高齢化・農地面積の減少、農村の活力の低下など国民が不安を覚える事態が生じてきた。
こうした背景の下、平成11(1999)年6月に、食料の安定供給の確保、多面的機能の発揮、農業の持続的な発展及び農村の振興を基本理念とした新たな基本法が制定された。
また、本法律に示されている基本理念や施策の基本方向を具体化するため、平成12(2000)年3月に「食料・農業・農村基本計画(基本計画)」が閣議決定された。この計画における「講ずべき施策」として食品の安全。安心に関する具体的内容が盛り込まれている。
基本計画は、社会情勢の変化等に応じて見直されることとなっており、平成17(2005)年3月に新たな計画が策定されたが、当初の計画以降5年間においてBSE問題や、食品表示の偽装事件等が相次いで発生したことから新基本計画には食の安全と消費者の信頼の確保に関する内容が大幅に充実された。
目的
この法律は、食料、農業および農村に関する施策について、基本理念およびその実現を図るのに基本となる事項を定め、ならびに国および地方公共団体の責務等を明らかにすることにより、食料、農業および農村に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって国民生活の安定向上および国民経済の健全な発展を図ることを目的とする。(法1)
政府は、この目的の下、食料、農業および農村に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、「食料・農業・農村基本計画」を定めなければならないとしている(閣議決定)。(法15)
食の安全・安心の位置づけ
国は、食料の安全性の確保および品質の改善を図るとともに、消費者の合理的な選択に資するため、食品の衛生管理および品質管理の高度化、食品の表示の適正化その他必要な施策を講ずるものとしている。
(法16・1)
2.飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律(飼料安全法)
背景
戦後の食糧不足の時代に粗悪な飼料が出回り、飼料の取引の公正を欠く現状にあったことから、これを解消するために昭和28(1953)年「飼料の品質改善に関する法律」が定められた。
その後、国民の食生活の向上による畜産物の需要の増大と生産の拡大に伴い、畜産経営の多頭化、集団化等飼養形態の変化が進むとともに、飼料の種類、品質、給与の実態が大きく変化したことを背景に、昭和50(1975)年法律名が「飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律」に改められ、大幅な改正が行われ、飼料添加物が法の規制対象に加えられ、飼料および飼料添加物の製造の方法等の基準ならびに規格の設定に関する規定、特定飼料等に関する規定ならびに飼料製造管理者の設置に関する規定が付け加えられた。
さらにその後、昭和58(1983)年、公定規格制度について外国製造業者に関する承認制、認定制を設けるための改正が行われた。平成11(1999)年、「独立行政法人肥飼料検査所法」により特定飼料等の検定および立入検査等を独立行政法人肥飼料検査所(現在の独立行政法人農林水産消費安全技術センター)が行うための所要の改正が行われた。
平成14(2002)年には「牛海綿状脳症対策特別措置法」制定に伴い、飼料等の流通、使用を把握するとともに、有害畜産物が生産されるおそれのある飼料等の流通を確実に防ぐため、飼料等の廃棄等の命令、飼料等の製造業者等の届出、飼料製造業者等が帳簿に記載すべき事項および帳簿の保存期間ならびに飼料の使用者に対する立入検査等の規定の改正および追加が行われた。
平成15(2003)年には「食品の安全性の確保のための農林水産省関係法律の整備等に関する法律」により飼料安全法も改正され、①特定飼料186飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律(飼料安全法)等製造業者および規格設定飼料製造業者に対する登録制度の導入、②飼料の栄養成分に関する公定規格の検定を行う指定検定機関制度の廃止、農林水産大臣の登録を受けた検定機関による検定制度への移行、③特定飼料等の検定の実施機関を肥飼料検査所に限定することが定められたほか、④有害物質が混入する等の被害が生じるおそれが認められた輸入飼料、飼料原料等を農林水産大臣が指定し、輸入業者に対して届出を義務づける規定、有害物質を含む飼料等が確認された場合には農林水産大臣は、当該飼料の製造、輸入、販売、使用を禁止できる規定が追加された
目的
①飼料および飼料添加物の製造等に関する規制、②飼料の公定規格の設定および③これによる検定等を行うことにより、飼料の安全性の確保および品質の改善を図り、もって公共の安全の確保と畜産物等の生産の安定に寄与することとを目的とする。(法1)
定義
(1)「家畜等」:家畜、家きんその他の動物で政令で定めるものをいう。
(法2・1)政令により、牛、豚、めん羊、山羊、しか、鶏、うずら、みつばち、ぶり、まだい、ぎんざけ、かんぱち、ひらめ、とらふぐ、しまあじ、まあじ、ひらまさ、たいりくすずき、すずき、すぎ、くろまぐろ、くるまえび、食用のこい、うなぎ、にじます、あゆ、やまめ、あまご、にっこういわな、えぞいわな、やまといわなの計31種類がこの法律の対象となる家畜等として定められている。
(2)「飼料」:家畜等の栄養に供することを目的として使用されるものをいう。(法2・2)
(3)「飼料添加物」:飼料の品質の低下の防止その他の農林水産省令で定める用途に供することを目的として飼料に添加、混和、浸潤その他の方法によって用いられるもので、農林水産大臣が農業資材審議会の意見を聴いて指定するものをいう。(法2・3)①飼料の品質の低下の防止を目的とする物17種、②飼料の栄養成分その他の有効成分の補給を目的とする物84種、③飼料が含有している栄養成分の有効な利用の促進を目的とする物52種の計153種が飼料添加物として指定されている。
(4)「製造業者」:飼料または飼料添加物の製造(配合および加工を含む。)を業とする者をいう。(法2・4)
(5)「輸入業者」:飼料または飼料添加物の輸入を業とする者をいう。(法2・4)
(6)「販売業者」:飼料または飼料添加物の販売を業とする者で、製造業者および輸入業者以外のものをいう。(法2・4)
(7)「基準及び規格」:飼料の使用または飼料添加物を含む飼料の使用が原因となって、有害畜産物が生産され、または家畜等に被害が生じることにより畜産物の生産が阻害されることを防止する見地から、農林水産省令により定められた①飼料または飼料添加物の製造、使用もしくは保存の方法もしくは表示についての基準および②飼料または飼料添加物の成分についての規格。(法3・1)
(8)「特定飼料等」:規格が定められた飼料または飼料添加物で、その使用が原因となって、有害畜産物が生産され、または家畜等に被害が生じることにより畜産物の生産が阻害されるおそれが特に多いと認められるものとして政令で定めるもの。(法5。1)インド産落花生油かすと抗菌性飼料添加物19種類が定められている。
(9)「特定飼料等製造業者」:特定飼料等の製造を業とする者。(法5・1)
(10)「外国特定飼料等製造業者」:外国において本邦に輸出される特定飼料等の製造を業とする者。(法5。1)
(11)「登録特定飼料等製造業者」:農林水産大臣による登録を受けた特定飼料等製造業者。(法12・1)
(12)「飼料製造管理者」:飼料または飼料添加物の製造に関し農林水産省令で定める資格を有する者。基準が定められた飼料または飼料添加物188飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律(飼料安全法)で、その製造の過程において特別の注意を必要として政令で定めるものの製造業者は、事業場ごとに飼料製造管理者を置かなければならない。(法25。1)
(13)「公定規格」:飼料の種類ごとに栄養成分量の最小量または最大量そのた栄養成分に関し必要な事項について農林水産大臣が定めた規格。(法26・1)
(14)「規格設定飼料」:公定規格が定められている種類の飼料。(法27・1)
(15)「規格適合表示」:規格設定飼料またはその容器・包装に付される公的規格に適合していることを示す特別な表示。(法27・1)
(16)「規格設定飼料製造業者」:規格設定飼料の製造を業とする者。(法28)
(17)「外国規格設定飼料製造業者」:外国において本邦に輸出される規格設定飼料の製造を業とする者。(法28。1)
(18)「登録検定機関」:農林水産大臣による登録を受けた、規格設定飼料について公的規格による検定を行う者。(法38。1)
3.食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律(食鳥検査法)
背景
わが国の鶏肉の消費量は、昭和40(1965)年ころから急増し、昭和62(1987)年には約163万トンと昭和40(1965)年の8倍に達し、食肉消費量の3分の1以上を占めるようになり、その安全性の確保が国民の健康保持に重要となった。
また、鶏の飼養形態が大規模多数羽飼育に変化したことにより、大腸菌症、ブドウ球菌症等の感染症が定着し、生産段階における抗菌性物質の使用も増加した。このような状況の中で、昭和60(1985)年、当時の厚生省生活衛生局に有識者からなる「食鳥検査制度懇談会」が設置され、公的な食鳥検査制度の必要性とそのあり方について検討が行われ、昭和62(1987)年5月最終報告書が取りまとめられた。
この報告書を踏まえて同8月、生活衛生局内に食鳥検査法案を検討するためにプロジェクトチームが設置され、関係業界との調整を経て、食鳥処理の事業を許可制とすること等を骨子とする法案が平成2(1990)年4月に国会に提出され、同6月19日に成立、同6月29日に公布された。
その後、平成15(2003)年の第156回通常国会において食品衛生法等を改正する法律により、食品衛生法、と畜場法とともに食鳥検査法も改正され、法の目的規定が見直され、国等の責務が明確化されたほか、食鳥処理場における衛生管理および検査体制の充実が図られ、罰則の見直しが行われた。
目的
食鳥処理の事業について公衆衛生の見地から必要な規制その他の措置を講ずるとともに、食鳥検査の制度を設けることにより、食鳥肉等に起因する衛生上の危害の発生を防止し、もって国民の健康の保護を図ることを目的とする。(法1)
定義
(1)「食鳥」:鶏、あひる、七面鳥その他一般に食用に供する家きんで政令で定めるものをいう。(法2)なお、政令で定められている家きんはない。
(2)「食鳥とたい」:と殺し、羽毛を除去した食鳥であって、その内臓を摘出する前のものをいう。(法2)
(3)「食鳥中抜とたい」:食鳥とたいからその内臓を摘出したものをいう。(法2)
(4)「食鳥肉等」:その内臓を摘出した後の食鳥の肉、内臓、骨および皮をいう。(法2)
(5)「食鳥処理」:食鳥をと殺し、およびその羽毛を除去することまたは食鳥とたいの内臓を摘出することをいう。(法2)
(6)「食鳥処理場」:食鳥処理を行うために設けられた施設をいう。(法2)
(7)「食鳥処理業者」:都道府県知事の許可を受けた食鳥処理の事業を営む者。(法6・1)
(8)「食鳥処理衛生管理者」:食鳥処理を衛生的に管理させるため、食鳥処理業者が食鳥処理場ごとに置かなければならない者。(法12・1)
(9)「食鳥検査」:都道府県知事が行う、①食鳥のと殺前の生体の状況についての検査、②脱羽後検査および③内臓摘出後検査。(法15。1~3)
(10)「脱羽後検査」:食鳥とたいの内蔵摘出前の体表の状況について都道府県知事が行う検査。(法15・2)
(11)「内臓摘出後検査」:食鳥とたいの内臓摘出後の摘出した内臓および食鳥中抜とたいの体壁の内側面の状況について都道府県知事が行う検査。(法15。3)
(12)「認定小規模食鳥処理業者」:食鳥処理の羽数が政令で定める数(30万羽)以下の小規模の食鳥処理場であって、確認規程を作成して厚生労働省令で定める基準に適合する旨の都道府県知事の認定を受けた食鳥処理場。認定された食鳥処理場での食鳥処理については、食鳥検査を免除される。(法16)
(13)「確認規程」:食鳥処理業者が認定小規模食鳥処理業者の認定を受けるに当たって、都道府県知事に提出する、食鳥の生体の状況、食鳥とたいの体表の状況または食鳥中抜とたいにかかる内臓およびその体壁の内側面の状況について行う検査の方法を記載した規程。(法16、規貝129)
(14)「届出食肉販売業者」:食鳥処理業者が、食品衛生法に基づき許可を受けた食肉の販売の事業を営む者であって、あらかじめ、厚生労働省令で定めるところにより、その事務所を管轄する都道府県知事に届け出た者。(法17・1)
(15)「指定検査機関」:都道府県知事に代わって食鳥検査を行うことができる機関として厚生労働大臣が指定した者。(法21・1)
(16)「委任都道府県知事」:指定検査機関に食鳥検査を行わせることとした都道府県知事。(法24・1)
(17)「食鳥検査員」:食鳥検査をさせるため、食品衛生監視員、と畜検査員、狂大病予防員および環境衛生監視員であって獣医師の免許を受けているもののうちからあらかじめ都道府県知事が指定する者。(法39、政令4、規則30、31)
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