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水、湯、塩を使った下ごしらえ
食材から有詳物蘭を減らす下ごしらえには、「水にさらす」「冷水に放つ」「酢水につける」「ゆでこぼす」「アクを取る」などの方法があります。
さらに効果を高めるポイントは、有害物質が溶け出す面積を大きくすることです。つまり「切る」ということ一つをとっても、どういう切り方であれ、有害物質が溶出しやすいようにすることなのです。
たとえば溶出面積についていえば、「輪切り」より「いちょう切り」が、「いちょう切り」より「みじん切り」が、また「短冊切り」より「小口切り」が、「小口切り」より「千切り」のほうが、溶出面積が大きくなることは明白です。しかし、料理は不安をなくせばよいというものでもなく、そこには見映えや味などの問題があります。料理に合った切り方という制約が出てくるのも当然です。
ただ、表面積が大きくなるということは、火の巡りをよくし、味がしみこみやすくなるというよさがあると同時に、食の不安が大変心配され、有害物質を減らすというメリットがあることを知っておくことも大切です。

1. 水、湯、塩を使った下ごしらえ
あく抜き
野菜などに含まれているアクの成分→すなわち、えぐみ、渋みなどや、褐変を起こす色素などを、水にさらしたりゆでるなど、それぞれの材料に適した方法で、アクを抜いていくことをいいます。皮をむいたウド、ゴボウ、レンコン、ヤマノイモなどでは、少量の酢を加えた水につけるとアクが抜け、変色しません。
アクは調理の際、全部除去すればよいというものではなく、適度なえぐみや渋みは、食事の風味上必要なものです。全部取り除くと、かえって味が悪くなることもあります。


板ずり
キュウリやフキなどに塩をまぶして、まな板の上でゴリゴリと転がしながらこすり合わせること。まず材料を洗ってラキの場合は適当に切ってまな板にのせ、塊をふります。手のひら全体で少し強めにこすりつけるように素材を転がしていきます。キュウリではイボを取って表面をしなやかにし、味をしみ込みやすくさせ、さらに緑色を鮮やかに仕上げることができます。フキを板ずりすると、皮がむきやすくなります。


隠し包丁
料理の表からはわからないように、素材の見えない部分に切り込みを入れて、火の通りや味の含みをよくし、食べやすくすることを「隠し包丁」といいます。「忍び包丁」「隠し刃」ともいいます。素材に応じて野菜やイモは厚みの3分の1くらいまで切り込みを入れます。たとえばふろふきダイコンには裏側に、芽キャベツやチンゲンサイには根元に、十文字の切り込みを入れます。また、姿で焼く大きめの魚の場合、鴨りつけたときの裏側の背びれにそって入れたり、はらわたを出すとき、腹びれのすぐ下に切れ目を入れたりします。

油抜き
油揚げ、厚揚げ、さつま揚げ、がんもどきなど、油で揚げてある材料を、調理する前に熱湯をかけることを「油抜き」といいます。衣に浮いている余分な油を除くことで、油臭さが消え、味がなじみやすぐなります。
油抜きをするには、素材をザルに並べて上から熱湯をまわしかけるか、たっぷりの熱湯の中でひと煮立ちさせ、ザルに上げます。

ゆがく
ゆでること。沸騰している鍋の中に材料を入れてサヅと熱を通し、軟らかくしたりアク抜きしたりすること。

湯通し
材料にサッと熱湯をかけたり、湯にくぐらせること。材料や調理法によって湯の温度や時間は多少異なりますが、「湯通し」は短時間の場合をいいます。「ゆがく」が野菜の下ごしらえのときに使うのに対し、「湯通し」は肉や魚介に使うことが多いのです。表面のほか、タンパク質を変質させて口当たりをよくするなどの目的があります。

ゆでこぼす
ゆでてそのゆで汁を捨てること。アクや渋み、ぬめりなど、不要で味のよくない成分を流し取るのが目的です。
ホウレンソウ、フダンソウなど緑の濃い野菜類はアクを除くために、サトイモは粘物質を取るために、「ゆでこぼし」をします。タンニンなどの渋み成分を含むものも、一皮ゆでてからゆで汁を捨てると、すっきりした味になります。これを「しぶきり」といいます。

湯むき
材料に熱湯をかけたり熱湯の中に浸して、外皮を取りやすくすること。
トマトの「湯むき」が代表的です。
トマトのヘタのところにフォークを刺し込み、熱湯にサッとつけ、すぐに冷水にとって冷まします。すると薄皮だけがきれいにむけます。

湯引き
下処理した魚に熱湯をサッとかけたり、熱湯でサッと茹でことを「湯引き」といいます。タイなどの刺身の造りは、熱湯をサッとかけたあと、冷水に取って冷やしたものです。あるいはそうした刺身を湯引きということもあります。
湯引きは霜降りと目的は同じで、魚のぬめりや臭み、余分な脂肪を除いたり、表面を固めて旨味を閉じ込めます。鶏の羽毛を抜きやすくするために熱湯に浸すことも、湯引きといいます。

霜降り
切り身にした魚肉類を、手早く熱湯に通したり熱湯をかけたりすることを「霜降り」といいます。「湯ぶり」ともいいます。表面だけが霜が降りたように見えるので、この名があります。余熱で中まで火が巡ってしまわないように、表面が赤くなったらすぐに氷水や冷水に取ります。
「霜降り」にはぬめりや臭み、余分な脂肪を除いたり、表面を固めて旨味を閉じ込める、身をしめるなどの効果があります。鶏のササミ、魚ではタイ、カツオ、ハモ、イカなどでよく用いられる下ごしらえです。

あらい
刺身で、冷水にさらすと身が縮む性質を利用したものです。
新鮮な魚肉をそぎ造りか糸造り(おろした身を細焚く切る刺身の作り)にして冷水にさらします。水でさらし洗いをするので、「あらい」といいます。
魚によってあらいにできるものとできないものがあり、コイ、フナ、スズキ、タイ、ヒラメなどがあらいに向いています。鮮度の落ちたものを氷水にさらしても身が収縮しないので、あらいにするには新鮮であることが絶対条件です。

2. 米類
炊く前に水を取り替える
①米をといだあと、しばらく水につけておきます。夏場なら30分、冬場は1時間くらいです。
②つけておいた水を捨て、米とほぼ同量の水を加えて炊きます。
理由
精米時に残留農薬の多くが除かれます。それでも残った農薬は、米をといでから水につけておくことで、1段と減らせます。2回とぎで残留農薬が除かれたという試験結果もあります。
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