白身フライの中の正体は?知られていない魚が使われていた!
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弁当屋で定番の「白身フライ」や洋食の定番メニュー「ムニエル」、「アクアパッツァ」はおいしい人気メニューです。使われている魚は当たり前のようにタイやタラなどだと思っている人も多いかもしれません。
「ホキ」「キングクリップ」「メルルーサ」と言われてピンとくる人は、かなりの事情通です。実はこれ、白身魚として広く流通しているものなのです。
持ち帰り弁当や街の定食屋の定番メニューになっている白身魚のフライ定食。マダラを使っていると勘違いしている人もいると思いますが、実はそうではないのです。特に白身フライという魚の名前が特定されていないので、タラを使わないといけないということはないのですが、タラを使っていると思っている人も中にはいるでしょう。
ファストフードなどのフィッシュバーガーに、マダラかスケトウダラが使われているというのも、正しくない情報です。
確かに食べてみると、タラに近い味覚、食感だが、たいていは「ホキ」という魚が使われているのです。
「ホキ」の原産地はアルゼンチンやニュージーランドで、タラに似た魚ですが、尾ヒレがウナギやドジョウに近い姿をしています。身離れがよいことから加工向きで、輸入される大半が弁当屋やレストランチェーンなどにおいて業務用として使われてきました。
最近は、水産品でも原材料表示が厳しくなってきたため、商品名が白身魚のフライでも「ホキ」と表示されたものがありますが、定食やフィッシュバーガーには記載されていないため、言われなければその正体は分からないのです。
もう一方の「キングクリッブ」はアマダイとして販売されていたこともありました。「キングクリップ」の原産地も「ホキ」と同じく二ュージーランドやアルゼンチンです。実はこの海域からは、「ギンダラ」の名で販売されていた「メルルーサ」という魚まで輸入されています。
これらの輸入魚は総称して代替魚ともいわれているもので、この他にも「トロスズキ」の原料がアフリカ産の「ナイルパーチ」であったり、「スルメイカ」や「アカイカ」の代わりに「アメリカオオアカイカ」などが使われていたりします。味付けスルメは、「スルメ」という名称が付いていても実はアメリカオオアカイ力が使われているケースが大半です。
「ホキ」は近年、ニュージーランド沖での漁獲量が減少してきています。
温暖化で産卵場所の海水温度が上昇してきているのが原因と見られていますが、もちろん、乱獲による影響もあるのは間違いないでしょう。
日本の代表的な白身魚
ヒラメ
アナゴ
鯛
タラ
マス
サケ
スズキ
フグ
キス
全国の大手スーパ—で組織する日本チェーンストア協会が、水産物の表示切り替えの自主基準をつくったのは遅すぎたと思われますが、一歩前進ではあります。
その内容は、チリアワビをロコ貝に、ギンムツをメロに、アマダイ(本物は除く)をキングクリップに、沖ブリをシルバー、海産ニジマスをトラウトサーモンに、クロカンパチをスギに切り替えることにしました。いまの消費者は、魚の名称に昔ほどこだわっていないので、美味ならどんな名称でも売れるのではないでしょうか。
なお、自主基準以外にも、魚の表示とその正体が違う主な例をいくつかをあげてみましょう。
左が売られている名前で、右が実際のものです。
シシャモ……カラフトシシャモ
シロスズキ……ナイルパーチ
イズミダイ……ティラピア
カレイヒラメ……カラスガレイ
タラ……メホキ