目次

1.残留農薬とダイオキシン

ダイオキシンや環境ホルモンから身体を守る「残留農薬」の不安は一般的に、発ガン性、遺伝毒性、催奇形性です。
と言われたら、野菜全体に危険なものがしみこんでいるかのように感じるかもしれませんが、それは誤解。農薬が残留する場所というのは、限られています。それを知って対処すれば、危険のほとんどは防ぐことができるのです。

農薬には約400成分、種類にしておよそ4000種がありますが、このうち水に溶ける農薬(作物の病気を防ぐ殺菌剤が多い)は、野菜の表面に付着しています。つまり、きちんと洗えば落ちるということ。

油に溶ける農薬(害虫を防ぐ殺虫剤が多い)は、野菜の表面のすぐ下にあるクチクラ層に溶けこみますが、野菜の内部にまで浸透することはほとんどありません。だから皮最を厚めにむくことで除けたりできます。最近は、野菜の表面や根から吸収される浸透性の農薬(殺虫剤がほとんど)も出回るようになりましたが、これは水に溶けるので、野菜のアクと同じように考えてよいでしょう。つまり、煮てアクのように出てさたものをすくえば大丈夫ということです。

もうひとつ気になるのは、いわゆる環境ホルモン(外因性内分泌攪乱物質)の中でもこれが人間の体内に入ってくるルートは、呼吸や皮膚接触もありますが、9割以上はこれが人間の体内に入ってくるのは、呼吸や皮膚接触もありますが、食べ物からと言われます。

そのうちの六割は魚介類を通じて。残りは肉、野菜、乳製品など。
ダイオキシンが野菜を汚染する経路は、3通り考えられます。
一つは、大気中のダイオキシンが粉塵などの微粒子について、野菜の表面に付着する

この場合は、流水中できちんと洗えば落ちます。
もう一つは、大気中のガス状のダイオキシンが、野菜の表皮下の層にまで浸透する

この場合は、外側の葉を取り去ったり、切って表皮下層を露出させてから下ゆで(ゆでこぼし)することで防衛できます。3番目は、ダイオキシンに汚染された土が、野菜に付着する。この場合は、流水の中でこすって土をしっかり洗い落とせばよいわけです。
なお、ダイオキシンは水に溶けにくい性質をもつので、野菜がダイオキシンを根から吸いあげることは、まずありません。つまり、あくまで表面やそのすぐ下の層を注意すれば大丈夫。中身を不安がらなくてもよいわけです。



2.環境ホルモンとは何か?

私たちの体内では、性ホルモンや副腎皮質ホルモンなど数々のホルモンが分泌され、成長、生殖など生命維持のしくみを調節しています。ところがある種の化学物質は、外の環境から体内に侵入して、大切なホルモン分泌のしくみをかき乱します。体内のホルモンを破壊する原因となったり、あたかも女性ホルモンのようにふるまったり。そこで、「外因性内分泌攪乱化学物質」(いわゆる環境ホルモン)と呼ばれるようになりました。

環境ホルモンによって、生体内のシステムは大混乱に陥ります。魚介類などではオスのメス化が起こったり、人間でも精子減少など生殖機能の障害が心配されています。環境ホルモンと疑われる物質は70〜150種類あるとされます。DDT、ディルドリン、マラソン、ジネブなどの農薬。容器包装から溶出するピスフエノールA、フタル酸エステル、スチレンダイマー。

そして環境汚染物質のダイオキシン、クロルデン、有機スズ化合物など。いずれも、もともと自然界には存在しなかった化学物質ですが、中でも毒性の強いダイオキシン類は人為的に合成したものではなく、偶然にできた物質。

6つの炭素が結合したベンゼン環を酸素でつないだ基本構造に、塩素がくっつくとダイオキシンになります。塩素系農薬の製造過程で、不純物として生成されてしまう。現在はダイオキシンを含むPCBやCNPなどの農薬はすべて製造禁止になりましたが、土壌にはかなり残留しています。なにしろダイオキシンは揮発しにくく水にも溶けにくく、さらに分解もされにくい。

さらにこのダイオキシンが、ポリ塩化ビニルなどの有機塩素化合物を焼却させたどきにもできることがわかり、ゴミ焼却場の問題が浮上したのです。ダイオキシンの急性毒性は、青酸カリの約1万倍、サリンの約2倍です。

つまりサリンの半分で致死量となってしまう。発ガン性もあります。それより低レベルでも害が出るのが環境ホルモンとしての特徴で、特に胎児や乳幼児のときに体内に取り入れると、その後の影響が大きいのです。
ダイオキシンが体内に取り込まれるのは9割以上が食物から。

こうした環境ホルモンから食卓を守るポイントは、
①同じものばかり偏食せず、バランスよく食べてリスクを分散する。
②野菜や果物などは洗って土を落とし、皮をむけば安心。
③魚はハラワタ、肉は脂肪分に注意。
つまり、説明した方法を忘れなければよいのです。



3.ダイオキシン類対策特別措置法(ダイオキシン対策法)
背景
ダイオキシン類は、昭和40(1965)年のベトナム戦争で使われた除草剤のなかに不純物として含まれていたといわれる。昭和51(1976)年には、イタリアのセベソ近郊の化学工場の事故で広範囲に散布され、人の健康に多大の被害を与えた。

ダイオキシン類は、発がん性があり、生殖機能や免疫機能の低下を引き起こすといわれ、ごみ焼却場の焼却灰や排煙に多く含まれ、土壌汚染も起き、世界的にも大きな問題となった。そのため、平成9(1997)年8月に、大気汚染防止法でダイオキシン類が指定物質に指定され、その抑制基準が定められ、廃棄物処理法の産業廃棄物焼却施設の技術上の基準と維持管理の技術上の基準が強化された。

その後、平成11(1999)年2月24日、政府にダイオキシン対策関係閣僚会議が設置され、3月30日にわが国の総合的・計画的なダイオキシン対策の具体的な指針として、ダイオキシン対策推進基本方針が策定された。この基本方針を受けて、厚生省の生活環境審議会と環境庁の中央環境審議会の合同会合で、ダイオキシン類のリスクの再評価を行った。

これを受けて、廃棄物焼却施設の集中地域に新たに焼却施設を設置する場合の判断基準を明確にした。さらに、参議院の与野党が「ダイオキシン類対策特別措置法」を共同提案して、平成11(1999)年7月7日に参議院本会議で全会一致で可決された。7月12日に衆議院本会議でも全会一致で可決され、 7月16日に公布された。

目的
①ダイオキシン類による環境の汚染の防止およびその除去等をするため、②ダイオキシン類に関する施策の基本とすべき基準を定め、③必要な規制、汚染土壌に係る基準等を定め、④国民の健康の保護を図ること

定義
(1)「ダイオキシン類」:①ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)、②ポリ塩化ジベンゾーパラージオキシン(PCDD)、③コプラナーポリ塩化ビフェニル(コプラナーPCB)、の3物質をいう。(法2・1)

(2)「特定施設」:工場または事業場に設置される、製鋼用の電気炉、廃棄物焼却炉等で、ダイオキシン類を発生し、大気中に排出する施設またはダイオキシン類を含む汚水または廃液を排出する施設で、政令で定めるものをいう。(法2・2、政令1)

(3)「排出ガス」:特定施設から大気中に排出される排出物をいう。(法2・3)

(4)「排出水」:特定施設を設置する工場または事業場(特定事業場)から公共用水域に排出される水をいう。(法2・4)

(5)「大気基準適用施設」:大気排出基準が適用される特定施設をいう。(法10。1)

(6)「指定地域」:大気基準適用施設が集合している地域で、大気排出基準のみでは環境基準の確保が困難であると認められる地域として政令で定める地域をいう。(法10。1)

(7)「総量規制基準適用事業場」:指定地域に設置されている特定事業場で、大気基準適用施設を設置している事業場をいう。(法10。3)

(8)「水質基準対象施設」:水質排出基準に係る特定施設をいう。(法12・1)

(9)「水質基準適用事業場」:水質基準対象施設が設置されている特定事業場をいう。(法12・2)



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