目次

1.バランス栄養食品
『バランス栄養食品』といっても缶タイプやゼリータイプなどいろいろありますが、まず、私達に一番なじみのあるブロックタイプについて。

「忙しくて朝食をとりにくい人」を対象に開発されたもので、11種類のビタミンをはじめ、6種類のミネラル、タンパク質、脂質、糖質を手軽に補給できるバランス栄養食品として売り出されました。登場したのは1983年ですが、あれから今に至るまですでに四半世紀を超えるのにいまだにロングセラー。

しかも、今でこそほとんどの加工食品に栄養成分表示がついていますが、昔はまずそうした表示自体、見かけなかったし、規定すらなかった。なのに、それを先取りして商品価値にまでしてしまったのですから、このアイデアはスゴイ!賞賛に値します。

買うほうの消費者にとっても栄養的に整っているらしいとの安心感は大きく、急ぐときの食事代わりに重宝している方も多いのでは。

ところが、ですよ。肝心の栄養バランス、決してよいとはいえません。実は、『バランス栄養食品』を朝食代わりにすると仮定して(箱を1食分とする)、「食パン6枚切り1枚(mg)+バター5g」及び「成人女性の1日の食事摂取基準値(目安量)の4分の1(軽めの朝食の目標値と考えて)」と比較してみたのですが、結論は、次の通り。

ビタミンこそほぼ摂取基準に達しているものの、タンパク質が少なく、食物繊維に至っては極端に少ないということ。

ちなみにタンパク質は、「食パン+バター」よりも少なく、摂取基準の約4分の1。
食物繊維はこれも「食パン+バター」よりも少なく、摂取基準の約5分の1でした。

これでは、「バランス栄養食品」を1箱全部を食べたとしても足りないわけで、「バランス栄養食品」の名が泣きます。でもタンパク質は、牛乳を一緒に飲めば少しはカバーできるとして、食物繊維のほうはいかんともしがたい。


2.商品は次から次へと発売されている
そのほかにも小麦粉の代わりに大豆粉を使っているものも販売されており、レーズン、バター、砂糖、卵、難消化性デキストリン(食物繊維の一種)などを配合し、「栄養豊富な大豆の生地にたっぷりのフルーツを加えた、新しいタイプの栄養食品」というのがウリ。

食感はクッキーというより堅めのフルーツケーキ風。どれも1本のカロリーは130kcal前後。
食べるときにぽろぽろこぼれないし、音もしないので、人目を忍んでこっそり食べたいようなときに便利かも。

バッグに1,2個しのばせておいた女子学生たちが、学校帰りに歩きながら、しゃべりながら食べているシーンが思い浮かびます。ゴルフを趣味としている友人が「腹持ちがいいので、ゴルフ場で重宝なのよ。大福持っていくよりさまになるし」と言っていましたが、なるほど!です。

少々意外というか、驚いたのは、全種類の中で3種類(バナナ、プルーン、オレンジ)だけですが、「栄養機能食品」を標示していること。それぞれカルシウムと鉄と葉酸をプラスしています。

その上の説明文は小さくてよほど目をこらさないと見えませんが、1日にとるべき栄養素の量(栄養素の表示基準値)に占める割合も書かれています。

「プラスα」の場合、1日1,2本食べるとカルシウム必要量の133%。「プラス葉酸」に至っては、1本で100%の充足率だそう。

これでは、サプリメントに近いのではと、しばし絶句でした。「サプリメントは、特定の成分が凝縮して入っているので過剰摂取に注意しないと」は何度も言ってきたことですが、このようにお菓子に添加しているのはどう評価すべきなのでしょう。
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