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JAS法や健康増進法など食品に関連する法律の一覧
目次
1. JAS法は安心に関する法律
JAS法の趣旨と所管JAS法は一言で言うと「食の安心に関する法」「食品の素性を正しく消費者に伝えるための法」です。JAS法の正式名称は「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」で、長くて言いづらいので、英語の「JapaneseAgriculturalStandard」を略してJAS法と呼んでいます。
所管は農林水産省で、広域で流通しない単体の都道府県内のみで流通する食品については、その都道府県が監督にあたる場合もあります。
指導監視はごく限られていましたが、昨今の食の安全・安心への関心の高まりや顕在化した食品不祥事問題を受けて、指導監視が強化されつつあります。
数年前までは、JAS法の知識がなかったり、あるいは勘違い等の悪意のない違反をとがめられることはありませんでしたが、今は社会の視線がきびしくなりました。
JAS法については、監督官庁である農水省が啓蒙・指導をしてこなかったため、厳格に順守していた企業は、かつては大手を中心とした「情報収集能力の高い」かつ「規制」に努める一部企業に限定されていました。
昔は現在のように居ながらにインターネットで情報収集できる時代ではなかったので、情報は所管官公庁に行って「お願いして教えていただく」ものでした。ですから規棋の小さい事業新にとっては、時間と金の負担感が重く、情報過疎になりがちでした。現在でも法律に'乳'する詳細情報のすべてが無料で手に入るわけではありません。有料の刊行物を購入する必要があるものもあります。
しかし、昨今の意図的表示に対する余波で、消費者からは、「表示間違い」=「実際より優良であると見せかけ、消費者をだます行為」という視線が向けられている。そういう印象を受けます。
この法律はJAS規格(日本農林規格)と食品表示(品質表示基準)の2つを定めています。
JAS規格制度は「特定の食品に対して国が規格品であると認定し、お墨付きとしてJASマークをつけることを許可する制度」です。とくにJASマークをつける必要性を感じなければ、JAS規格について知る必要はありません。
品質表示基準は、食品の表示に関する規定です。「飲食店」と「販売一体型店舗」以外の業態で扱う食品のほとんどが品質表示基準を守る必要があります。
品質表示基準は、食品群ごとに分かれています。1社の扱う食品がどの品質表示基準に該当するか確認し、順守に努めましょう。
「該当する品質表示基準」と「自社取扱い食品の表示」が合致していない場合、回収となることもあります。ご注意ください。
品質表示基準は分散されています。まず関係する食品がどの分類に該当するかを確認しましょう。品質表示基準は農水省のホームページに掲載されています。各品質表示基準のはじめには用語の説明表が掲載されています。自社が関係する食品とを照らし合わせ、該当するかどうかを品質表示基準で確認してください。「この品質表示基準は該当するな」と思ったら、印刷して手元に置きましょう。
表示が必要になる原材料の種類
・肉・野菜などの生鮮食品(生鮮食品品質表示基準第2条に規定されるもの)
・加工食品のうち生鮮に近い20食品
・かつお削りぶし、農産物漬物、うなぎ加工品、野菜冷凍食品対象となる原材料の範囲
・原材料の食品に占める割合が上位3位までのもので、かつ5%以上のもの・包装の見やすい箇所に印刷、押印など包装表示を原則とする
・包装への表示がきわめて困難な場合は、ホームページ・ファックス等により情報提供することも可
2.栄養価を強調したいときは健康増進法
健康増進法の趣旨と所管国民の健康維持と現代捕予防を目的として制定された法律で、主務官庁は厚生労働省です。食品の栄養成分の表示については、健康増進法に基づき「栄養表示基準」が定められています。また健康保持増進の効果に関して誤認・誤解を与える表示をしてはいけないと定めています。
栄養表示基準制度とは、健康増進法第31条第1項に基づき、販売する食品に栄養成分・熱量について何らかの表示を行なう場合、その栄養成分・熱量だけでなく、栄養摂取の状況から見て亜要な栄養成分・熱量についても表示することが義務づけられているほか、その表示が一定の栄養成分・熱量についての強調表示である場合には、含有量が一定の基準を満だすことを義務づけた制度です。
具体的な決まりごとは次のようなものです。
(1)表示すべき事項と表示順番
栄養表示する場合には「熱量(エネルギー)、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム」を必ず表示しなければならない。例えば、カルシウムを表示したい場合、「カルシウム」だけを表示してはいけません。「熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム、カルシウム」と表示しなければなりません。表示の順番もこの順です。
(2)強調表示の基準
食物繊維・カルシウム等について「高」「含有」等を衣示する場合や、熱量・脂質、コレステロール等について「無」「低」等を表示する場合には、満たしていなければならない基準があります。
(3)表示値の誤差許容範囲
表示した数字とその食品が実際に含む値との藻。この差には許される範囲(誤差許容範)が決められています。
3.産地偽装が主な不正競争防止法
不正競争防止法の趣旨と所管不正競争・防止法が日本で問題となる食の安全に関してのケースは、産地偽装が主たるものです。
食品事業者が逮捕される事例のほぼ100%が産地偽装と言ってもいいでしょう。産地偽装は詐欺罪、不正競争防止法違反のどちらにも該当しそうですが、実際は詐欺罪での立件はなく、立件されるときはほぼ不正競争防止法違反です。
「不当に利益を得るために産地の価格を利用して売り先を別にした」と立証するのはむずかしく、また実際は、中国産では売れないために、物をさばくため、あるいは納入先の産地指定要望に応えるために産地を偽るのでしょう。
不正競争防止法は「不正を行なう事業者を取り締まる法」「不正によって他の事業者が不利益を被らないようにする法」です。
正確には「事業者間の公正な競争およびこれに関する約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止および不正競争に係る損害賠償に関する拙置等を講じて識、もって経済の健全な発展に寄与することを目的とする法」です。所管は経済産業省です。
虚偽表示などの不正な行為や不法行為(民法第709条)が行なわれると、真っ当なり業者は不利益を被ります。また不正な食品が出ると消費者も安心して買い物ができません。
(*不法行為(民法第709条)「故意または過失によって他人の権利または法律で保護される利益を侵詳した者は、これによって生じた賠償する責任を負う」)
このように民法では損害賠償清求については規定していますが、差し止め請求は原則規定していません。賠償金は取れても不正を止めさせられない、ということです。それではただ地団駄路んで見ているしかないのか、というとそうではなく、「正義の味方」不正競争防止法のおかげで不正を差し止める。止めさせることができるわけです。
不正競争防止法の第2条に「原産地等誤認行為」として、慨略以下のように規定されています。
「商品、その取取引した書類に、その商品の原産地・品質・内容・製造方法・用途について誤認させるような表示を使用する行為」大半の調理を人間機械で行ないながら、一部の手作業をもって「手作り」と表示して販売する行為はこれにあたるでしょう。
4.内容量の許容範囲を決める計量法
計量法の趣旨と所管計量法は「計量の基準を定め、適切な計量の実施を確保するための法」です。所管は経済産業省です。食品,以外の灯油・油性塗料・皮革なども規定していますが、食品以外の解説は割愛します。
計量法には、食品包装に表示する「原材料一括表示欄」の内容量を重量(グラム、キログラム)や容量(ミリリットル、リットル)で表示している場合、表示重量・容量と実測の重量・容量との差との許容範囲が示されています。
法律上は表示鼓より実測量が多すぎても違反になりますが、消費者としては「もうけた!」「ラッキー!」と思う人が多いでしょうから、多すぎても苦情や違反指摘を受けることはありません。しかし、食事量を厳密に管理している方、例えば糖尿病の方などもいるので、「多い分にはかまわないだろう」という考え方はいけません。
5.不当な表示を取り締まる景品表示法
景品表示法の趣旨と所管景品表示法は「不当景品類及び不当表示防止法」の略称です。さらに略して「景表法(けいひょうほう)」とも言います。「不当な表示や過大な最品類の提供をきびしく規制し、公正な競争を碓保することにより、消費者が適正に商品を選択できるようにするための法」です。
この場合の「表示」は、食費衛生法とJAS法では意味が異なります。食品衛生法とJAS法で表示と言った場合、パッケージやPOPなどの「書いた」文字あるいは絵柄を指します。
一方、景品表示法で言う「表示」とは、「顧客を誘引するための手段」全般を指し、書かれた文字や絵柄だけでなく、「口で言ったこと(口頭説明)」も含まれます。
実際の商品より優良に見せかけようとする「悪意」があった場合はもちろんですが、結果として消費者が誤解すれば、それをもって「不当表示」と判断されます。消費者が実際より優良と誤認したか否かが判断基準です。あくまで「消費者がどう思ったか、感じたか」です。
所管は公正取引委員会です。駆け引きが通じる相手ではありませんので、公取委から連絡がきたなら、表示の妥当性を示す合理的根拠資料を提出できる可能性はきわめて少ないでしょう。業者にとっては「手強い」ですが、消費者からすれば「心強い」番人です。
6.その他食品業者にかかわる法律
薬事法所管は本店所在地の都道府県庁。健康食品は「健康に良い食品」という意味です。医薬品ではありませんので、人体に効能がある、とうたうことはできません。
健康食品に医薬品と誤認させるような表現があった場合、医薬品としての承認や許可を取得せずに販売をしたと判断され、薬事法違反となります。
製造物責任法(PL法)
製造業者などが製造・加工または一定の表示をし、引き渡した製造物の欠陥により、他人の命・身体または財産を侵害したとき、生じた損害を賠償する責任があることを定めた法律です。
製造物自体の損害のみであれば、担保責任・債務不履行責任を論拠とした賠償にとどまります。精神的苫痛を受けた、ということについては微妙です。
製造物に氏名を衣示した事業者も請求先となるという見解が内閣府ホームページに記されていますので、販売者のみ記された食品では、販売者も対象となります。
食品の引取では、PL保険に加入していることが取引のリスク軽減策として求められますので、自社のリスク管理・取り引き先からの要望で加入するのが普通です。後は費用対効果、賠償額と保険料の釣り合いをとるだけです。
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