目次

中国産から身を守るQA
1.なぜ中国産が多く輸入されているのか?
我が国の食料自給率は、2011年度のカロリーベース換算で、わずか39%しかない。これは世界的に見ても極めて低レベルの数字だ。アメリカ(130%)はもちろん、ヨーロッパで自給率の低いイギリス(65%)やスイス(56%)をも下回っている。

食料の6割を海外からの輸入に頼っている以上、隣りの中国で生産された食品なくして、今や日常の食生活が成り立たなくなっている。中国から輸入している食料は年間約400万トンにものぼり、アメリカに次ぐ輸入量なのだ。

中国は最大の産地であり消費地でもある
アジア地域は魅力的な地域である。80年代の初め、わが国の食品メーカーは韓国、台湾に海外工場を設立し、開発輸入を開始した。80年代の後半からは、タイが魅力ある地域だったが、90年代に入ると、これが中国地域へと移行している。

中国進出の魅力は、一つには豊富な労働力にある。日本経済は労働力不足が慢性化した感があるが、この国には若年労働力がいまだかなり存在しているのだ。この豊富な労働力を利用して、日本では困難となっている「手づくり」感を出すことができるのである。

二つには、労働力の豊富さに加えて、人件費の安さがある。日本の10分の1ともいわれる低賃金は、きわめて大きな魅力となっている。

三つには、豊富な農水産資源がある。日本で加工用原料を調達するには、規格外品や契約栽培でしか入手できない。これに比べて、中国及び周辺地域では、規格にとらわれることなく、良質安価な原料が確保できるのである。

農業、漁業の生産部門から、その加工品さらには調理品まで、きわめて広範囲なものとなっている。ここで生産された食品は、わが国に輸出されるだけでなく、第三国にも輸出されている。

従来、タイが日本の海外工場の役目を果たした時期があったが、最近ではこれにかわって中国がわが国の海外工場として登場している。そして、中国は単に生産地としての魅力のみならず、将来的には製品の消費地としての魅力もきわめて大きい地域なのである。


2.なぜ中国産から残留農薬や有害物質が検出されるのか
中国の水質汚染は深刻で、全耕地の約2割が汚染されているとも指摘されている。取材班も中国の農地を実際に取材したが、農業用水が流れる水路には、ゴミや油が浮かび上がり、異臭を放っていた。多くの農民はこうした水を浄化する術を持っていない。いわば汚水を農業用水として使わざるを得ないのである。

また、中国の土壌の多くは農業に適していない。人糞肥料が未だに使用されており、そのために発生する害虫や菌を駆除しなければいけないので、農薬が多用されるという実態がある。すでに禁止された危険な農薬でも、よく効くのでインターネットや小売店で販売されている。


中国産でもきちんと検査されていれば大丈夫?
輸入食品への検査には、国が行なう「モニタリング検査」と民間の検査機関が行なう「命令検査」「自主検査」がある。

しかし、検査されるのは全輸入量のうちの1割ほどに過ぎない(中国産の検査率は平均より高い18%)。検査で違反事例が発見されても、残りはすでに流通し、消費されていることが多い。違反件数を見ると、中国は278件と一位だ。次いでアメリカ、ベトナム、タイ、イタリア。

日本の食品メーカーなどは、「現地でも厳しい検査を行なっている」と主張するが、実際には中国側に検査を丸投げしているケースも多いという。「日本の農水省が認可した工場で最終工程の加工、検査がなされていても、1次、2次工程が不衛生なら何の意味もない。安全と言えるのは、全ての工程において日本人が携わっている企業のみです。しかし、そのような体制をきちんと取っているのは、1割程度しかないでしょう」


ラベルの原産地表示で中国産が使われているかを見破れるか
生鮮品は基本的に原産地の表示が義務付けられているので比較的簡単に見分けられるが、問題は加工食品だ。前述したように、中国から輸入される加工食品は増えている。
消費者庁は加工食品についても原料原産地の表示をするように指導しているが、全てについてではない。

①原料の品質の差異が、加工食品としての品質に大きく反映されると一般的に認識されている品目のうち、
②原材料のうち、単一の農畜水産物の重量が50%以上であるもの、に限っている。
その対象とされるのは、漬物、カット野菜、緑茶、いり落花生、魚介フライ、ひき肉など、24の食品群のみだ。
しかも、国産を50%以上混ぜて加工すれば、表示義務はなくなるのである。

外食に至っては、主要原材料は産地を表示するべきとの趣旨の農水省のガイドラインはあるが、中小の業者もあるとの理由から法律化されていない。唯一、米飯類のみ米トレーサビリティ法によって産地情報を消費者へ伝達するように義務付けられている。

スーパーやコンビニで販売されている惣菜なども原産地表示のないものがほとんどだ。
「逆に考えると、国産の場合は売りになるので、お店側も積極的に産地をアピールします。また、惣菜の表にラベルが貼ってなければ要注意。見せたくない何かがあると考えたほうがいいでしょう」

3.スーパーで売られている食材で中国産が多いのは
中国産食品の事件が相次いだことから、生鮮品ではあまり見られなくなってきたが、業務用スーパーなどでは中国産が多い。まず、注意すべきなのは、干ししいたけ、きくらげ、ウーロン茶など、中国産の割合が高いものだ。実際、これらの品目について、厚労省は違反事例を摘発している。

さらに気をつけるべきは加工食品である。加工食品は国産品を50%以上使用していれば、「国産扱い」にすることができる。中国産が多いのはソーセージなど豚肉製品や、鶏肉を加工した製品だ。

また、レトルトパックされた製品にも、具材の一部に中国産が使用されていることが多く、原料原産地表示のないことが多いので要注意だろう。
意外と知られていないが、中国はりんご、桃、トマトなどの生産量で世界一位である。これらは、果実のまま輸入されるのではなく、果汁に加工してから、輸入されることが多い。りんごジュースやトマトケチャップのラベルを見ると、中国産と表示されていることもあるので、裏面ラベルは要チェックだ。


ファミレスやレストラン、居酒屋で多い中国産食材は統計上は中国からの輸入量が多いのに、スーパーなどであまり中国産を見かけない食品は、外食産業で使われている可能性が高い

「たとえば玉ねぎや長ねぎは中国から大量に輸入していますが、店頭に並べても売れないので、外食産業に流れています」(食品表示アドバイザーの垣田達哉氏)
ほうれん草、にんじん、豆類なども同様だ。

さらには、だし巻き卵やオムライスなどに使われている卵が中国産の可能性もある。なぜなら、殻を割った「液卵」が中国から多く輸入されているからだ。
また、近年中国産が増えているのが、予め調理加工されてオーブン等で焼くだけのメニューだという。

「たとえばグラタンは、ホワイトソースから中国で作り、その中に中国産のあさりやマッシュルームが入っています」中国産かどうか、見分ける指標の一つに、「値段」が挙げられる。

「安いものには相応の理由があると考えたほうがいい。特に気をつけるべきなのはランチメニューです。オーブンで焼くだけ、あるいは揚げるだけのもののように、忙しい時に客の回転数を上げられるメニューは、中国産の比率が高い」居酒屋のおつまみで定番の枝豆は、約1万9千トンを中国から輸入している。主に冷凍モノなのだが、茹でる手間がいらないので外食産業で多く使われているのだ。

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