目次

日本が輸入している食品一覧│野菜類
野菜
1. 輸入野菜の種類と主な輸入先
輸入野菜は、輸入されるときの状態で大きく次の3つに分けられます。①生鮮の状態で輸入されるもの、②冷凍して輸入されるもの、③塩蔵(塩漬け)、酢漬け、乾燥、缶詰などに加工して輸入されるもの。野菜の輸入は30年以上前から部分的に始まっていましたが、1970年頃から急激に増加し、1997年の輸入量は約170万トンとなっています。

①生鮮の状態で輸入されるものには、常温で輸入されるものと一部の冷蔵で輸入されるものとがあります。代表的なものは、たまねぎ、かぼちゃ、アスパラガス、キャベツ類(ブロッコリーを含む)、まつたけ、生しいたけ、豆類、しょうが、にんにく、さといもの一部などです。
輸入生鮮野菜全体では、最大の輸入先国はアメリカで、続いてニュージーランド、中国です。アメリカが全体の4割強を占めていますが、近年では中国が増加しています。

2. 生鮮たまねぎ
生鮮の状態で輸入される野菜のうち、現在ではたまねぎが最も多く、年間の輸入量は20万トン前後であり、たまねぎの国内の全供給量の13~16%を輸入品が占めるようになっています。

輸入先は1997年の場合、アメリカが73%を占め、続いてニュージーランド20%弱、他には中国・オーストラリアなど全体で10か国以上から輸入されています。
輸入時期は、ほぼ周年行われるようになりましたが、国内産の生産がない1~4月の間がとくに多く、1か月に2万トン以上輸入されています。

生鮮かぼちゃ
かぼちゃは、生鮮で輸入される野菜の中では、たまねぎに次いで輸入量が多く、しかも年ごとに急速に輸入量が増加してきました。1997年の年間輸入量は14万トン弱でした。この輸入量はかぼちゃの国内全供給量の半分弱にあたり、近年国内生産量が頭打ちであることから、間もなく、かぼちゃは輸入ものが半分以上を占めそうな状況になっています。

生鮮アスパラガス、ブロッコリー
アスパラガス輸入される生鮮アスパラガスの大部分はグリーンアスパラガス(以下グリーン)で、若干ホワイトァスパラガス(以下ホワイト)も輸入されています。
アスパラガスの輸入が始まったのは10年ほど前ですが、その後輸入量は急速に増加し、現在では6年前と比較すると約2倍程度となっています。1997年の輸入量は2万1000トン強です。

生鮮品以外では缶詰で約4000トンの他、冷凍品やベーコン巻き、焼き烏用の串刺しなどに加工されたものも輸入されています。現在生鮮品として売られているアスパラガスの大半は輸入品であり、ほぼ周年売られるようになっています。今後も輸入ものが増加しそうです。

ブロッコリー
生鮮ブロッコリーはキャベツ類の中では圧倒的に多く輸入されています。1997年の年間輸入量は約7万2000トンで、国内に供給される量の半分程度と見られます。
輸入先はアメリカが98%程度を占め、その他はオーストラリアなど計5か国から輸入されましたが量は微々たるものです。

ブロッコリー以外のキャベツ類は、わずかに3000トン程度がアジア諸国を中心に輸入されているのみです。この普通のキャベツ類の生鮮ものは、植物防疫法によりアメリカをはじめとして多くの国からの輸入が禁止されています。


生鮮まつたけ、生鮮しいたけ、その他生鮮野菜
生鮮で輸入されるその他の野菜は、輸入分類では30品目程度のものがあります。そのうちいくつかのものを取り上げてみます。

まつたけ
まつたけは日本では秋の味覚の代表として高く評価され、その特有の香りと味覚が歓迎されています。
まつたけの年間輸入量は1980年代には400トン程度でしたが、その後急激に増加し、1990年代に入ると2000トン台になり、近年では年間3000トン前後輸入されるようになりました。

生鮮しいたけ
輸入されるしいたけには、生鮮(生)と乾燥(干)とがあります。生しいたけの輸入の始まりはほし干しいたけよりおそく、1989年より始まり、1997年には2万6000トン強輸入されました。現在の輸入先は、ほとんど中国です。
輸入されている生しいたけの量は既に国内で消費されている生しいたけ全体の4分の1程度に達し、今後もさらに増えそうです。


冷凍ばれいしょ
輸入される冷凍ばれいしょ(じゃがいも、ポテト)の量は、全輸入野菜の中で最も多く、生鮮たまねぎや生鮮かぼちゃの量を上回っています。
輸入される冷凍ばれいしょの9割以上はフレンチフライポテトです。それ以外では少量の乾燥品も含めたマッシュポテトの輸入があります。ファーストフードやファミリーレストランのチェーン店で出されるフレンチフライポテトは、ほとんどがアメリカからの輸入品です。
1997年の冷凍ばれいしょの輸入量は約22万トンで、そのうちアメリカが9割弱を占め、他にカナダなど約10か国から輸入されています。アメリカの主な産地は、北西部のアイダホ州、ワシントン州、オレゴン州です。

冷凍えだまめ
えだ豆はビールのつまみとして大いに利用されていますが、現在ではその大多数が輸入品となっています。主な輸入先は、1990年頃まではほとんどが台湾産でしたが、その後中国産やタイ産が急激に増加し、1997年の全輸入量約6万トンのうち、中国産45%、台湾産42%、タイ産が12%程度で、その他ベトナム、インドネシアなどからも輸入されるようになっており、ビールのつまみも国際的になりました。

冷凍スイートコーン、冷凍ミックスベジタブル
冷凍スイートコーンスイートコーンはとうもろこしの一種です。日本はとうもろこし全体では年間1600万トン以上輸入していますが、そのほとんどは飼料やでん粉用原料その他に使われる別の種類のとうもろこしです。
スイートコーンは食用のとうもろこしで甘味があり、レストランの料理やサラダなどにも使われるものです。輸入されるときの形態は、生鮮、冷凍、缶詰および他の野菜との混合などがあります。

冷凍ミックスベジタブル
ミックスベジタブル(混合野菜)の冷凍品も大量に輸入されています。1997年の年間輸入量は3万トン程度で、輸入先別ではアメリカが全体の5割弱を占め、他にはニュージーランド、中国、メキシコ、台湾などからです。
輸入された冷凍ミックスベジタブルの大部分は、レストランなどの外食店で使われますが、一部はスーパーなどの店頭でも売られています。



トマト加工品
輸入トマト加工品は輸入通関上10品目強に分類されています。これらを大まかに分類すると次のようになります。①調製した固形トマト類、②トマトピューレ、トマトペースト、③トマトジュースや混合野菜ジュースなどのジュース類、④トマトケチャップ、トマトソース類。トマト加工品全体の輸入量は年々急速に増加し、1997年のトマト加工品の輸入量は約16万トンで、これは5年前の1992年の量に対して4割以上増加したことになります。一方、国内のトマト生産量は減少傾向を見せており、1995年の国産トマトの出荷量はトマト全体では66万トン弱で、このうち加工用トマトは5万5000トンとなっています(農林水産省、平成7年産野菜生産出荷統計)。したがって、国内に供給されるトマト加工品は輸入品が大部分を占めています。
調製した固形トマト類の輸入量は約5万8000トン(1997年、以下同じ)で、主な輸入先はイタリアが最も多く全体の7割以上を占め、他にはトルコ、アメリカ、タイなどからでした。この商品はトマトの形をくずさないように表皮を湯むきし、缶に詰め、水またはトマトピューレやトマトジュースを入れパックしたものが主体で、料理の材料に使われるものです。



乾燥野菜81%輸入
インスタントラーメン、インスタントみそ汁などに添えられている乾燥野菜。
お湯に戻すとなかなかの量と味で、私たちに満足感を与える。その乾燥野菜だが、ルーツについてはあまり知られていない。

乾燥野菜は、年間約4万6000トン(2005年)輸入されている。乾燥野菜と言っても種類は様々である。たけのこ、ぜんまい、きくらげ、たまねぎ、ばれいしょ、スイートコーン、だいこん、かんびょう、その他の乾燥野菜、などの種類がある。それぞれ輸入先を見てみると、乾燥たけのこは97%が中国産。乾燥ぜんまい、乾燥きくらげは、乾燥だいこん、乾燥かんびょう、その他乾燥野菜は、ほぼ100%中国産。

乾燥たまねぎは64%が米国、20%が中国。乾燥スイートコーンが、66%が中国で、次が米国となっている。要するに、乾燥たまねぎと乾燥スイートコーンを除けばほとんど中国産ということになる。

国産の乾燥野菜はないのだろうか。日本凍結乾燥食品工業会の話では、フリーズドライで作られている国産の乾燥野菜は、600トン程度だそうだ。栄養価もほとんどない、水に戻しても味もない熱風乾燥で作られている乾燥野菜は1万436トン(06年)だそうだが、これらはインスタントみそ汁やインスタントラーメンには使われない。乾燥野菜で気になるのが残留農薬である。乾燥野菜は加工食品なので、ポジティブリスト制が導入される前は、無検査で輸入されていたが、ポジティブリスト制が導入されてからは加工食品も検査対象となり、検査が開始された。案の定、残留農薬違反が続出し、そのほとんど中国産乾燥野菜だったのである。

乾燥野菜は、水分を飛ばして作られるため、農薬の残留値は高くなる。検査の際は水分を飛ばさない前の状況に合わせるように、換算して検査をするが、残留値が高くなることには変わりない。国産野菜の乾燥野菜のレベルを上げ、また水際での検査体制を早く充実させ、安心して乾燥野菜を食べられるようにしてほしいものである。



しょうが49%輸入
日本では高知や千葉、熊本を主産地に、ショウガを3万9400トン(2005年)生産しているが、日本の生産量に匹敵する3万8583トンの生鮮ショウガが輸入されている。輸入先は中国である。この中国産ショウガは、卸売市場を通して、スーパーなどで販売されている。

しかし、ショウガの輸入は生鮮ショウガだけではない。香辛料としてのショウガや漬物としてのショウガの輸入がある。

ガリ、紅ショウガにも中国産が進出
香辛料としてのショウガは、2万9154トン輸入されている。輸入先は、中国、タイ、台湾となっている。タイ産の香辛料として輸入されたショウガは、寿司店のガリや紅ショウガに加工されているそうだが、ここでも中国産が進出してタイ産から中国産に置き代わる動きになっているとされている。

寿司店のガリにしても、紅ショウガにしても国産のショウガが使われることはほんの一部しかない。ほとんどが輸入ショウガである。漬物としてのショウガは、塩蔵、ショウガとして2万1470トン、調整野菜ショウガとして1万1907トン輸入されている。
漬物に使われているショウガはほとんどが、輸入ショウガと判断して間違いはない。


こんにゃく33%輸入
日本料理にとってこんにゃくは、おでんの種としても、刺身こんにゃくとしても、味噌田楽としても、欠かせないものである。しかし、中華料理でこんにゃくを使った料理など見たことも聞いたこともないだろう。最近まで中国は、こんにゃくを食べる習慣がなかったのである。にもかかわらず、今中国は日本に対して年間3万461トンものこんにゃく製品を輸出しているのである。その量は、実に日本のこんにゃく製品輸入量の86%を占めている。

また、日本はこんにゃく芋を7万トン生産していることから見ると日本で流通しているこんにゃく製品の約3割が中国産こんにゃくと想定される。
この中国からのこんにゃく製品輸出は、1994年から本格的に始まる。その前は細々と、こんにゃく製品の輸出をしていた。中国からの輸出量がこの20年間で25倍になったのである。

中国産が国産に化けている
では、どうしてこのようなことになったのだろうか。ひとつ目の鍵は、中国にも、こんにゃくの原料となるこんにゃく芋が自生していたということである。それも中国内陸部四川省や湖北省、雲南省の山間地、中国でも貧困地域といわれる農村地域である。

そこで、中国政府や地方行政が、貧困克服対策として、こんにゃく芋生産を推奨・支援したのである。こんにゃく芋は、コメの2倍の収入を農家にもたらし、またたく間に、こんにゃく芋の生産は広がっていった。中国に、中国こんにゃく企業を中心として、「こんにゃく協会」が組織され、こんにゃく芋からこんにゃく製品を作る体制も整備された。

第2の鍵は、中国に進出した日本のこんにゃく企業の存在である。中国でこんにゃく製品を作り、それをどんどん日本に輸出する原動力となった。
しかし、日本のスーパーで中国産の板こんにゃくや糸こんにゃくは見かけない。
どこに消えてしまったのか。

ひとつには、中国から輸入されるこんにゃく製品は、外食産業や中食産業に主に流れているとされている。おでんやすき焼き、肉じゃがなど外食で食べる料理には、中国産こんにゃくが使われている可能性が高い。では、スーパーなどに中国産こんにゃくが国産に化けて流通しているということはないのだろうか。


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