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おいしさや鮮度を求めて製造・流通技術の限界へ挑戦している
1.おいしさや鮮度を求めて製造・流通技術の限界へ挑戦している
製造・流通技術のさらなる革新水泳、陸上競技でトップレベルにある
選手に必要なのは、「限界へ挑戦する」意思と志だという。同じことは食品メーカー業界にも当てはまり、「さらにおいしく」を追求して、製造、流通技術の限界へ挑戦する努力が日夜繰り広げられている。
2000年の飲料ヒットの一つは、キリンビバレッジの「生茶」。原料に三種類の摘み立ての生茶葉を使用し、うまみ成分テアニンを増す一方で、渋み成分タンニンを抑え、まろやかさをつくりだしたという。最終的な味に決まるには、ブレンドの試行錯誤を気の遠くなるほど行ったことが想像される。
冷凍食品では、食材の調達地で調理して、その場で凍結出荷するワンフローズン製法が注目を集めている。たとえば、インドネシアで油で揚げ凍結させたナスを国内に持ち込み、商品化するといった具合だ。もちろん、日本水産がニュージーランドの提携先としてISO9000シリーズ(国際的な品質管理規格)の認定工場を選んだように、品質管理を徹底する必要がある。
ビール業界では、「製造後何日で工場出荷されたか」や「製造後何日で酒屋に届いたか」で鮮度を争う競争が展開されている。すでに消費者には、ビールは新しいほどおいしいとの認識が定着しており、流通力の向上が企業間競争の大きな焦点となっている。もちろん、アサヒビールがビールの品質劣化をくい止めるために開発した、酸化を防ぐ新製法のような地道な製造革新も欠かせない。
ただし、鮮度追求だけが「さらなるおいしさ」の創造につながるわけでない。たとえば、ビターのような、鮮度にあまり神経質にならなくてもおいしいビール類の開発、供給に日本のビール会社は熱心ではない。
また、鮮度への過剰なこだわりは、社会的なものを含めコスト増大につながり、おいしいものをたくさん食べたり飲むために必要な低価格化の障害となったり、スポーツ界でのドーピング問題にも似た問題を引き起こすことにもなる。
製造、流通技術の革新が「頭で感じるおいしさ」ではなく、「五感で感じるおいしさ」追求を目指すとき、バランスある製造・流通技術の革新がもたらされるのかもしれない。
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