副菜・おかずの食品に含まれる危険成分を確認して安全に食べる方法を紹介
目次
→お菓子の安全な食べ方
→果物の安全な食べ方
→主食の安全な食べ方
→おかずの安全な食べ方
→野菜の安全な食べ方
→調味料の安全な食べ方
→飲料の安全な飲み方
→食品まわりの安全な飲み方
2. ハム
使う前にゆでる
ハムはサンドイッチやサラダ、お弁当のおかずなど、使う頻度の高い食品ですが、添加物の多い食品です。しかしちょっとした工夫で安全に食べることができますから、ご安心を。
まず、ハムによく使われている添加物のうち、発ガン性などが指摘される不安なものをあげておきましよう。
「保存料(ソルビン酸K)」
「リン酸塩」
「発色剤(亜硝酸Na、亜硝酸K、硝酸K)」
「コチニール色素(別名カルミン色素)」などです。
これらがすべて含まれていないハムがベストですが、店頭ではなかなかお目にかかれないのが実状。そこで、せめてソルビン酸Kが入っていないものを選びましょう。
ソルビン酸Kと発色剤の亜硝酸塩が一緒になると、発ガン物質ができるといわれています。避けるにこしたことはありません。
「ビタミンC」の表示があるものはよいでしょう。
酸化防止剤「エリソルビン酸Na」の表示を見かけることがありますが、これはソルビン酸Kとは別もの。この添加物を多くとると、下痢や遺伝毒性の不安もあるといわれだし、最近はエリソルビン酸Naのかわりに「ビタミンC」を使うことが多くなったのです。
ビタミンCは発色剤の害を減らす働きもあるので安心です。
なお、生ハムの場合、幸いにもソルビン酸Kは使われていません。
さて、安全に食べる方法です。
まず、そのまま食べるときは、50度くらいのお湯の中で、ハムを10秒ほどつけてふります(湯ぶり)。これで添加物がお湯に溶けだし、減らすことができます。ハムはスライスしてあるので、この程度の時間で十分。また、10秒ほどなら味にもそう影響はありません。
最近、妙に水っぽいハムが多い。冷蔵庫に入れておくと、ハムが凍っていることもある。
ハムは腐敗しやすい生肉を塩漬けや慎製にすることで、保存性を高めた加工品。豚肉だけから作った本物のハムなら冷蔵庫で水分が凍ってしまうようなことは決して起こらない。
冷蔵庫で凍るハムは「水」で増量されているのだ。本当の「水増し」というわけだ。
ハムの原材料表示名を見ても「水」とは書かれていない。だが、水が相当量使われているのは事実で、あるメーカーのハムの原材料内訳を見ると、重量比で20%を超えている。
水が使われるのは、塩漬の工程。原料肉を塩漬けにするのだが、塩漬液を何百本の注射器で原料肉に注入する方法で行なわれる。塩漬液には、食塩、砂糖、香辛料のほか、保存料(ソルビン酸)、発色剤(亜硝酸塩)、結着剤(リン酸塩)といった食品添加物も入っている。この塩漬液に大量の水を加えるのだ。安いハムほど大量の水が注入されている。
こうした「水増しハム」が横行しているのは、水は表示の必要がないからだ。ハムの本場のヨーロッパでは、製品中の水の比率が5%を超えると「水」と表示することになっている。
ハムではもうひとつ増量剤が使われる。「植物性たんぱく」である。これは脱脂大豆のことで、ノルマンヘキサンという発がん性のある化学薬品で大豆から大豆油をとったあとのカスだ。もちろん薬品の残留が懸念される。肉よりも主原料は脱脂大豆といったほうがいいハムはたくさんある。
ただ、風味がないので、豚エキスとか化学調味料などの添加物が必要になるのだ。
ここがポイント!商品の選び方
炒め物やスパゲッティ、お弁当のおかずなどによく使われるハムですが、多くの製品はオススメすることができません。
なぜなら、危険性の高い発色剤・亜硝酸が添加されているからです。ハムの原料となる豚肉には、筋肉色素のミオグロビンや血色素のヘモグロビンがふくまれています。それらは赤い色素なのですが、時間がたつにつれて酸化して、黒くなっていきます。すると、ハムの色が茶色っぽくなってしまい、「おいしくなさそう」に見えてしまいます。そこで、亜硝酸を添加するわけです。亜硝酸は、ミオグロビンやヘモグロビンと反応して酸化を防ぐため、きれいなピンク色を持続できるのです。
しかし、亜硝酸は、肉にふくまれるアミンという物質とも反応してしまい、そこで問題が生じてしまいます。この反応によってニグトロソアミン類なるものが発生することがあるのですが、実はこれには発がん性があるのです。
ニトロソアミン類は、10種類以上知られていて、いずれも動物実験で発がん性が認められています。とくに代表的なNーニトロソジメチルアミンの場合、わずか0・0001 ~0・0005 %をえさ、または飲料水に混ぜて、ラットに長期間与えた実験では、肝臓や腎臓にがんが発生しました。
このように、亜硝酸が使われているハムにはニトロソアミン類ができている可能性があり、実際食肉製品からしばしばニトロソアミン類が検出されているといいます。
また、ニトロソアミン類は酸性条件下でできやすいことがわかっております。
ベーコン
無添加ベーコンもある
ベーコンもなかなか便利な食材。ベーコンエッグや、カリカリに焼いてサラダのトッピング、ロールキャベツと煮こむなど、用途はいろいろ。
ハムやウィンナーソーセージに比べると、添加物の少ないものが出回っています。
原材料名の表示をよくチェックしましょう。
とりあえず、保存料の「ソルビン酸」あるいは「ソルビン酸K」が使われていないものを選びます。幸いベーコンの場合、この添加物を使っていないものが多いので、見つけるのに苦労はないはずです。また「コチニール(カルミン)色素」は、遺伝毒性の不安があるので避けます。
本当は、「リン酸塩」や発色剤の「亜硝酸Na」も避けたいところですが、ほとんどのベーコンが使っています。
「増粘多糖類」や「植物性タンパク」などもないほうがよい。どちらも、いろんな成分をまとめてこのように表示しているわけで、何が使われているかわからない。不安なところです。
とはいえ、安心な食べ方で、心配を解消。
ベーコンをパックから出し、一枚ずつにばらします。鍋のお湯の中で、一五秒ほど湯ぶり。
添加物、とくにリン酸塩や亜硝酸は水に溶けやすいので、これでぐっと減らすことができます。味はほとんど変わらないので、ご心配なく。ベーコンエッグもカリカリベーコンも、 ロールキャベツと煮こむときも、必ずゆでてから使います。なお、無添加ベーコンも店頭で見られるようになりました。こうしたものを選べばより安心。
ここがポイント!商品の選び方
ベーコンはスパゲッティやスープなどによく使われますが、ハムやソーセージなどと同様の問題があります。つまり、発色剤の亜硝酸が添加されていて、発がん性のあるニトロソアミン類ができている可能性があるということです。
そもそも亜硝酸は、ひじょうに毒性の強い化学物質で、本来なら食品に混ぜるべきではないのです。亜硝酸を誤って摂取すると、中毒症状として、嘔吐、チアノーゼ(皮膚や粘膜が青紫色になる)、動悸、血圧降下などが知られています。これまでの中毒例から計算されたヒト致死量は0・18~2・5gです。値に幅がありますが、最低の0・18gは、猛毒の青酸カリ(シアン化カリウム) の致死量0・15gとそれほど変わりません。イタリアでは、女性が甘味料のソルビットと思って飲んだサプリメントが、実際には亜硝酸であったため、死亡しています。
したがって、食品に一定量ふくまれると中毒を起こすので、ベーコンやソーセージなどに対する添加量が厳しく制限されています。
しかし、このように毒性が強く、しかも発がん性物質に変化するものを、そもそも添加物として認可すること自体が間違っていると考えられます。
なお、亜硝酸には、食肉製品が黒ずむのを防ぐほかに、ボツリヌス中毒を防ぐ働きもあります。
ボツリヌス中毒は、致死性の高いもっとも怖い食中毒です。そのため、亜硝酸を添加していない製品には、「加熱調理することをおすすめします」という注意表示があります。
しかし、製品によっては、こうした表示はありません。日本では、食肉製品でボツリヌス中毒がほとんど発生しておらず、また製造の工程で衛生管理を徹底すれば、ボツリヌス中毒が発生する心配はないからです。
豚肉
豚は使い勝手がいいらしい。豚の臓器は人間に近いからと、心臓病患者に豚の心臓弁を移植する。さらに工場製品並みに規格のそろった各種臓器欲しさにクローン豚、つまり遺伝子が同じそっくりさん、コピー豚を生産する。片や豚になんとホウレンソウの遺伝子を組み込み、豚の脂肪の一部を植物油のリノール酸に変えるという。逆も可能か。ホウレンソウを食べていたら、それは豚肉だなんて。おお、ミステーク。頭の中がねじれそう。
2002年、豚の世界では白を黒と、あるいは黒を黒、白を白と言いくるめる騒ぎでにぎわった。
牛肉
テレビ取材と客のクレームで発覚
国産牛肉人気ナンバー1は松阪牛で、人気が高ければ、それだけ偽装の標的にされやすい。
2002年5月初め、京王百貨店新宿店(東京都新宿区)での一件は、テレビ取材がきっかけで発覚した。
日本テレビがニュース番組の企画で、同店精肉売り場の肉を抜き打ちで調べた。外部調査機関でDNA検査をしたら、松阪牛と表示できるのはメス牛だけのはずなのに、オスの肉が混じっていた。
偽装をしたのは、その売り場にテナントとして入っていた食肉卸・小売りの明治屋産業(本社・福岡市)の社員だった。
松阪牛が品薄状態で値段が高くなり、量が不足した。そこで「とちぎ和牛」や「神戸牛」の肉で穴埋めしたという。
他に栃木県産の交雑種(乳牛メスと和牛オスの交配で生まれた牛)を「とちぎ和牛」、未確認の牛肉を「鹿児島県産黒毛和牛」と表示して販売していた。
東急ストアさぎ沼店(神奈川県川崎市)の場合には、客からのクレームで発覚した。
同8月初め、同店の精肉売り場で「松阪牛」の牛肉を買った客から、「表示がおかしい」と指摘された。そこで同売り場のテナントの東急ストア子会社・セントラルフーズに調査をさせたら、セントラルフーズが7月初めから発覚するまでの1ヵ月間、パックを偽装していた
鶏肉
ある大学の研究室では毎年、クリスマスが近づくと、エサによる太り方の違いの実験を終え、実験に使った鶏を水炊きにして食べることになっていた。首を切って血を出させ、大釜の湯の中にざんぶと入れて毛をむしり、内臓を取り、湯でぐずぐずと煮て、ふうふう言いながらほおばった。実験に協力してくれた鶏に申しわけなく、残酷だったが、うまかった。
それからしばらくして、養鶏業界のオールイン・オールアウト方式というコトバを知った。狭い鶏舎の中でたくさんのブロイラー(飼育期間3ヵ月未満程度の肉用若鶏)を、スシ詰め状態で飼う。だから鶏にはストレスで、フンなどの掃除も不十分になりがちだから非衛生的であり、病気も発生しやすい。
そこで、1000羽なり1万羽なりのヒナをいっぺんに鶏舎に入れて飼って、2~3ヵ月後にはこれまたいっぺんに出荷する。すべて一緒に入れ、すべてを一緒に出す、それがオールイン・オールアウト方式だ。出荷した後、鶏舎を掃除して、消毒してまたヒナを入れる。考えてみれば、そのほうが工場生産的で、合理的だった。部分的に出し入れしていたのでは、掃除もできない。
しかし、初めて、オールアウト直後の鶏舎に足を踏み入れて驚いた。1000羽を飼う広い鶏舎内の地べたに、ブロイラーの死体があちこちに置き去りになっていた。死因は他の鶏に踏みつぶされたことによる圧死、いや解体処理場に送られる前、他のブロイラーはこう叫んだ。
「仲間を殺したのは、人間の食欲だ」
そして、2002年春の産地偽装事件が再びブロイラーの心を鈍らせる。「オレたちの短い生涯の証し、産地証明すらごまかされて、このまま食われ続けてもいいのだろうか」
鶏卵
炊き立てのご飯に生卵をかけ、すっすっとすすれば、おおワンダフル。もう、それだけで、その日1日、なんでもうまくいきそうな気になるから、安上がりで、こんなにいいことはない。しかし、そんな思いはもうできなくなるかも知れない。最近、食中毒の原因になるサルモネラに汚染された鶏卵が増えているそうだ。
2002年8月、大阪府立大学大学院生命科学研究科の馬場栄一郎教授は、養鶏場の約2割からサルモネラを見つけたと、東京都港区で開かれた「たまごフォーラム」で発表した。
大手の養鶏場や集卵場約200カ所からそれぞれ4パックを買い、サルモネラがいるかどうかを調べた。
その結果、1個でもサルモネラがいた養鶏場は2割近い所で、うち8個以上は7カ所あった。
これまで鶏卵のサルモネラ感染率は高くないといわれていたが、今回はその倍以上、8000個のうち100個で感染率は従来のデータよりもケタ違いに高く、本格的な実態調査と対策が必要。
ウインナーソーセージ
お弁当のおかずによく使われるウインナーソーセージですが、ハムと同様に黒ずむのを防ぐために、発色剤の亜硝酸が使われています。したがって、問題があるのです。
とくに真っ赤なウインナーは、さらに合成着色料のタール色素が使われているので、いっそう危険性が増すことになります。
動物実験の結果から、いずれも発がん性の疑いがあるのです。赤102 は、漬け物などにも使われていますが、子どもに蕁麻疹を起こすとして、皮膚科医のあいたでは注意が呼びかけられています。
また、赤3 は、ラットに投与した実験で、甲状腺の腫蝠が増加しました。このほか、この製品には発色剤の亜硝酸も使われていますし、保存料のソルビン酸K(カリウム)も使われています。ソルビン酸Kは、細菌の遺伝子に異常を引き起こすことがわかっています。
したがって、お弁当のおかずに使ってはいけません。
とうふ
パックから出して水につける
健康のためには、毎日でも食べたいとうふ。でも、果たしてとうふは安全な食品なのでしょうか。
大丈夫。とくに不安な添加物はありません。
不安といえばただ一つ。
原材料の大豆です。「国産大豆使用」と表示がしてあっても、実は原料の大豆の一部にしか、国産大豆を使っていない製造業者が多いのです。
じゃあ、残りは何を使っているのかというと、アメリカからの輸入大豆。
そして、輸入大豆といえば、遺伝子組み換え大豆の不安が出てきます。
そこで、その不安をクリアする選び方。
国産大豆100パーセントの表示のものを探すこと。
つぎに、よい豆腐の選び方。凝固剤「塩化マグネシウム含有物」と表示されているものを選んでください。これは、いわゆる「にがり」です。
豆腐の凝固剤には、塩化マグネシウム含有物、硫酸カルシウム、グルコノデルタラクトンの3種類があります。
どれも安心度からすると差はありませんが、同じ大豆の量からできる豆腐の数が違います。塩化マグネシウム含有物(にがり)を使ったものを1とすると、硫酸カルシウムでその約1.3倍、グルコノデルタラクトンは約1.7倍の量の豆腐ができます。
つまり、とうふ一丁の栄養分は、塩化マグネシウム含有物(にがり)でつくったものが一番多いということなのです。同じ値段なら、にがりを使ったもののほうが栄養価が高く、得な感じがしませんか?
なお、消泡剤(グリセリン脂肪酸エステル)は、使わないにこしたことはないのですが、かといって、それほど心配はありません。
では、より安心な豆腐の食べ方は。
買ってきたら、すぐパックから出して、水につけます。これが安心のテクニック。
凝固剤や消泡剤などが水に溶けだすし、にがり臭さもとれ、おいしくなります。
すぐに食べない場合は、タッパー(ポリエチレン、ポリプロピレン製のもの)などに水を張り、移しかえて冷蔵庫へ。
油あげ
裏ワザ、油抜き
とうふを薄く切ってあげたものが油あげ。前の項で述べたように、材料のとうふには、不安な添加物は使われていません。
それでも、気になる点が三つ。
一つは、「丸大豆」「国産大豆」という表示の場合。とうふと同じように、輸入大豆が使われていて、遺伝子組み換え大豆かもしれないという不安があります。
一つは、あげ油の種類がわからないこと。遺伝子組み換え食用油が使われているかも。
もう一つは、表示されているあげ油の持ちこみ添加物として(あげ油に添加物が入っている)、酸化防止剤の「BHA」が使われているかもしれない不安です。
さて、遺伝子組み換え大豆が不安なら、「遺伝子組み換え大豆は使用していません」という表示があるもの、あるいは、国産大豆100パーセントのものを選んでください。
あげ油については、つぎにご紹介する安心の食べ方で、不安解消。
油あげを使う前に熱湯をかけるか、熱湯をくぐらせて油抜きを。
油分が熱湯に溶けてとれるので、あげ油の添加物BHAも減らせますし、遺伝子組み換え食用油の不安も少なくなります。
さらに、油臭さもとれて、料理の味もすっきり。
納豆
よく練って、ねばりを出す
「納豆は大豆と納豆菌でつくる無添加食品。まったく安全」と太鼓判を押したいところですが、もしかしたら、おおもとの材料の大豆に遺伝子組み換え食品を使っているかもしれないという心配があります。
パーケージに「国産大豆100パーセント」と表示してあるものを選べば安心。
この表示以外の納豆には、輸入大豆が使われていることが多く、遺伝子組み換え大豆の不安はぬぐえません。
「極小」「超小粒」とうたったもの、「炭火発酵」「本格熟成」とつくり方を特徴づけたもの、さらに「有機栽培無農薬」としてOCIAのマークがついたものなども出回っていますが、栄養価や昧、品質に変わりはありません。(ちなみに、OCIAは国際的認定機関で、日本の有機栽培ガイドラインよりは信頼度が高そうです。)
ところで、「輸入大豆だと、ポストハーベスト農薬が不安」という声も聞かれますが、あまり心配する必要はありません。
納豆は製造過程で水にひたすので、農薬などの不安物質が残っていても、水に溶けだしてしまいます。さらに、大豆に含まれている食物繊維が、余計なものを体の外に出してくれるのです。
さて、納豆を食べるときは、できるだけ「ねばり」を出して食べることをおすすめ。
ねばりが納豆菌の活動を活発にし、Oー157などの食中毒菌に対する力を高めてくれるからです。
また、ねばりの中に含まれる「ナットウキナーゼ」は血栓を溶かす作用もあります。
納豆を長くおくと、チロシンというアミノ酸の結晶ができ、ジャリジャリしますが、心配はいりません。
それでも、製造してから5日目をめどに食べましょう。そのほうが、おいしくいただけます。
ふりかけ
添加物が多い子ども向けキャラクターふりかけ
りかけには、意外にも添加物がたくさん使われています。
とくに、子ども向けのキャラクターふりかけに添加物が多いので要注意。いまどきの子どもが大好きな味に近づけるため、そして色とりどりにするため、さまざまな添加物を使っているのです。ふりかけは、ゆでるなど手を加えて添加物を減らすことはできませんから、安心の度合いは選び方一つにかかっています。
そこでよいふりかけの見分け方。ふりかけは、添加物をかなりたくさん使ったものと、ほとんど使っていないものと、極端に分かれているようです。よく見かけるもので、とくに避けたほうがよいのは「コチニール(カルミン)色素」を使ったふりかけ。
また、甘味料の「甘草」「ステビア」も使ってあれば、できれば避けたいものです。
探すのは大変ですが、「調味料(アミノ酸等)」までも原材料名の表示に入っていないものならいうことなし。いずれにしても、無添加に近いふりかけ以外は、あまり回数を多く食べないこと。
また、手軽に安心度を高める方法もあります。赤しそ(ゆかり)を混ぜることです。
しそはβーカロチン、ビタミンC、カリウムがたっぷりで、添加物の害を防ぎます。青のりを混ぜるのもよいアイディア。しそと同じ成分があり、害を防いでくれます。自家製のふりかけなら、まるで安心。手づくりしてみてはいかがでしょう。
煮干しの粉とすりゴマを同量、青のりを好みの量加えて、すり鉢でよくすりつぶす。味を見て物足りないときは、塩少々を加える。これでよし。完全無添加のふりかけのできあがりです。ゆかりを混ぜてもしゃれた味になります。
ここがポイント!商品の選び方
ふりかけは、多くの製品が出ていますが、ほとんどに調味料(アミノ酸等) が使われています。
これは、L‐グルタミン酸(ナトリウム)をメインしたものに間違いありません。そのため、どの製品も舌に残る、似たような味になっています。
L-グルタミン酸は、以前は化学合成されていましたが、現在はさとうきびなどを原料に、発酵法によって製造されています。もともとは、こんぶにふくまれるうまみ成分なので、動物実験ではほとんど毒性は認められていません。
しかし、人間が一度に、人量に摂取すると、灼熱感や動悸などを感じることがあります。
それがわかったのは、1968 年のことでした。アメリカのボストン近郊の中華料理店で、ワンタンスープを飲んでいた客が、顔面や首、腕にかけて灼熱感やしびれ、さらに動悸やめまいなどを訴えたのです。調べたところ、ワンタンスープに大量のL- グルタミン酸が入っていたことがわかり、この症状は中華料理店症候群と名付けられました。大量のL‐グルタミン酸をうまく処理できずに吸収されてしまい、こうした症状を起こすと考えられます。
ただし、個人差があって何も感じない人も少なくないようです。
また、L- グルタミン酸は、味の画一化を招いているという問題もあります。あまりにも多くの食品に添加されているため、どの製品も似たような味になってしまっているのです。
さらに、L-グルタミン酸が添加されていないと、「おいしくない」と感じてしまう、いわゆる「味音痴」を生み出してもいます。
L- グルタミン酸入りのふりかけを子どものときから毎日食べ続けていると、その味が脳に刷り込まれて、「味音痴」が増える心配があるというわけです。
かまぼこ
サッと湯にくぐらせ
最近では、大変、質のよいかまぼこが出回るようになってきました。
いっさい添加物を使わず、でん粉の含有量が0パーセントのものなど。
でん粉の量は多くても4パーセントまでのものがいいのです。でん粉の量が多いほど、添加物が使われるようになります。
つぎの添加物が入っているものは、避けましょう。
保存料の「ソルビン酸」「ソルビン酸K」が含まれているもの。
「リン酸塩」、「赤色106号」など数字がついた着色料、「コチニール(カルミン)色素」が添加されているものもバツ。
ただし、原材料名にリン酸塩を表示していなくても、原料のすり身に「持ちこみ添加物」として入っている場合もあり、いずれにしても不安は残ります。
そこで、安心して食べる方法。かまぼこをなるべく薄く切り、しゃぶしゃぶのようにお湯にサッとくぐらせて食べるのがポイント。
お湯に触れる面積を広くすれば、添加物が溶けだしやすくなります。
お湯にくぐらせることで、添加物だけでなく、アクや塩分も減らせ、嬉しいことに味も一段とよくなるのです。
たらこ
焼きたらこはあぶる程度に
たらこはスケトウグラの卵を塩漬けにしたもの。赤いものがおいしいイメージがありますが、あの赤は着色料によるもの。本当の色はもっと白っぽいのです。
安心のためには、「赤色102号」など数字のついた着色料や、「コチニール(カルミン)色素」を使っていない、白っぽい色のものを選びます。
では、「無着色たらこ」と表示されているものは安心かというと、そうでもない。
着色料を使っていないというだけで、着色料のかわりに発色剤の「亜硝酸塩」を使っているものが多いのです。これではどっちもどっち。
ただし、亜硝酸塩を使ったときには、同時にビタミンCの添加が義務づけられ、発色剤の害を防ぐことになっています。
完壁に安全なのは、無添加、無着色、おまけに「調味料(アミノ酸等)」すら使っていないたらこです。さて、「たらこは焼いたほうが好き」という人も多いと思いますが、焼くなら、「調味料(アミノ酸等)」の表示があるものは避けること。
なぜかというと、アミノ酸の主体であるグルタミン酸Naは、直火の高温で発ガン物質となる不安があるからです。たらこを焼くときは、ちょっと焼き色をつける程度に。
焦げた部分も発ガン物質になる心配があるので、焦がさないこと。
また、焼きたらこには、だいこんおろしで和えることをおすすめ。
ビタミンCが、グルタミン酸Naの高温による発ガン物質、焦げの発ガン物質の害を防ぎます。
漬物
買ってきた漬けものはサッと水洗い
塩分とりすぎが生活習慣病をまねくといわれ、食生活はなべて塩分を抑える方向に進んでいます。
漬けものも然り。
ところが、漬けものの低塩化と反比例するように、添加物が増える傾向にあります。
だから、選び方が大切になります。原材料名の表示に「黄色四号」など数字がついた着色料が入っているものは避けます。
「ソルビン酸K」は当然のこと、甘味料の「甘草」「ステビア」もなるべく避けたい。
とくにステビアは、漬けものには純度の悪いものを使うことがあり、遺伝毒性が心配されます。妊娠中の女性は要注意です。
なかには、ほとんど添加物の入っていない漬けものも出回っていますから、必ず表示を確かめて、少しでも不安のないものを選ぶ習慣を。また、買ってきた漬けものは、漬け汁を捨てるのが鉄則。漬け汁の中に添加物がたくさん溶けだしているからです。
できれば、サッと一回水洗いしてから食べれば、さらに添加物を減らすことができ、安心です。
干物
干物の味方、だいこんおろし
アジ、イワシ、サンマ、カレイ。昔の干物と違って、近頃の干物は水分が多く、ふっくらやわらかくなっています。かつては水分が40パーセント以下だったのに、いまでは70パーセント近いものが多く、塩味もほどほどです。
実は、つくり方も違い、現在では天日干しではなく、火力乾燥がほとんどです。水分が多く塩分が少なければ傷みやすいのですが、保存料はほとんど使われていません。
それでも、保存料の「ソルビン酸K」を使っているものが、たまにあります。原材料名にこの表示があったら、買うのはやめること。
ほかに、よく使われている添加物は「リン酸塩」。食塩を減らすと弾力がつきにくいので、食感をよくするために添加することが多いのです。これも避けます。
また、添加物はビタミンCだけというものも増えてきました。これこそ、よい干物です。
話は変わりますが、干物と漬けものを一緒に食べるのは禁物です。このことは、意外に知られていません。
干物に多いジメチルアミンと、漬けものに含まれる亜硝酸塩が体の中で一緒になると、発ガン物質をつくる不安があるというのがその理由です。
また、千物を焼いたときにできる焦げも、発ガン物質の可能性が。
こうした不安を解消し、添加物や焦げの害を防いでくれる強い味方が、だいこんおろしのビタミンCです。
昔から、焼き魚にはだいこんおろしがつきものでしたが、その理由はこんなところにあったのです。
最近の干物はぶよぶよで柔らかいものが多くなっている。また塩分控えめということで、塩分を薄くしている。そして、塩分が薄いと傷みやすくなるので、どうしても添加物で傷みを防ぐことになる。
築地の魚市場に行ったとき、アジの干物の入った段ボールが積んであった。段ボールを見ると、酸化防止剤(V・C)の表示。これが、スーパーなどで一枚一枚バラ売りになると、何も表示されないのだから、どう見てもおかしなことである。
居酒屋などのホッケの干物もそうだ。異様にテカテカして身離れがいいが、添加物漬けでつくっているからだ。原価50円もしない安い加工用のホッケを大量に仕入れ、魚肉エキス、酸化防止剤、化学調味料を含んだ干物用の液体に一晩漬けて、25度から30度の温風で乾燥させるとすぐに干物ができる。中には保存料のソルビン酸カリウムを密かに使用しているものもあるというのに、表示などまったくされずに定食屋のメニューになっている。
干物は養殖ものが圧倒的に多いが、一番気になるのは、エサに与えている抗生物質やイケス網の防汚剤に使われる薬剤が魚に残留しているかどうかである。
養殖は日本の食料安定供給のためになくてはならないものだけに、安全性や環境への対策は最優先されなければならない。
チーズ
ナチュラルチーズはその名のとおり自然のまま
少し前まで、チーズといえば「プロセスチーズ」でした。
最近では、これにかわってカマンベールチーズやクリームチーズ、カッテージチーズなどの「ナチュラルチーズ」が人気です。
さて、結論から先にいいましょう。ナチュラルチーズに添加物は使われていません。
ナチュラルチーズはその名のとおり、加工していない自然のままのチーズ。動物の乳に酸や酵素を加えて固め、細菌を使って熟成させたものです。
一方、プロセスチーズは、ナチュラルチーズをくだいて熱で溶かし、殺菌して容器に詰めたもの。さまざまな種類のナチュラルチーズをブレンドしています。そのため乳化剤を添加しています。なかには、保存料の「ソルビン酸K」が使われている場合もあります。
プロセスチーズを選ぶなら、ソルビン酸Kが入っていないものを選ぶこと。
缶詰
できるだけ早く食べたほうが無難
缶詰はいざというときの心強い味方、強力な保存食品です。しかし、意外に添加物が多い食品なので、表示には注意しなくてはなりません。
たとえば、コンビーフ缶の原材料名の表示を見ると、不安な添加物として品質改良材の「リン酸塩」、発色剤の「亜硝酸Na」、増粘剤の「カラギーナン」が入っています。
こういうものは、あまりおすすめはできません。
ホタテガイやサーモンなどは、「調味料(アミノ酸等)」も添加していない安心な缶詰も出回っていますが、カニ、コンビーフ、ウインナーソーセージの缶詰には、リン酸塩をはじめ、不安な添加物が多く見られます。
ところで、これら添加物のほかに、最近では環境ホルモンの心配も出てきました。
缶詰の内側は、「ビスフェノールA」を原料とした「エポキシ樹脂」でコーティングされていることが多く、長期間のうちに溶けだしてくる心配があるのです。
パスタソース
パスタソースは、各社から様々な製品が出ていますが、そのほとんどに調味料(アミノ酸等)や香料などの添加物が使われています。
そのため、似たような濃い味付けになっています。安全性の面から見ても、多少の不安が残ります。
そんな中で、調味料も香料も使っていないものもあります。使っているのは塩化カルシウムとクエン酸だけです。
塩化カルシウムは海水にもふくまれている成分で、安全性に問題はありません。また、クエン酸は、もともとレモンやミカンなどのかんきつ類に多くふくまれる酸なので、これも問題はありません。
添加物については、このように具体名をきちんと表示してもらいたいものです。
一方、ベーコンが使われている場合、それに発色剤の亜硝酸 が添加されているので、オススメすることはできません。ベーコンの量が少ないので、亜硝酸も微量と考えられますが、アミンと反応して、発がん性のあるニトロソアミン類に変化する可能性があるため、やはりやめた方がいいでしょう。
また、原材料の中ではショートニングが一番多く使われていますが、これにはトランス脂肪酸ができています。トランス脂肪酸を多くとると、動脈硬化が進んで、心疾患のリスクが高くなることがわかっています。
添加物は、表示上は加工でん粉だけですが、これは11品目もあり、中には毒性が十分に調べられていないものがあります。したがって、安全といい切ることはできません。
カレールウ
子どもたちが大好きなカレー。それを簡単に作れるのがカレールウですが、気になる点があります。
それは、ほとんどの製品にカラメル色素が使われていることです。
カラメル色素には4種類あって、そのうちの2種類には、動物実験で発がん性が認められたメチルイミダゾールが不純物としてふくまれています。しかし、「カラメル色素」としか表示されていないため、どのカラメル色素が使われているのか、消費者にはわからないという状況です。
毎日カレーを食べるということはないと思いますが、できることならカラメル色素は、子どもにはとらせたくないものです。
さらに、カラメル色素のほかに合成甘味料のスクラロースを使った製品もあります。
通常スクラロースは、ダイエット甘味料として、清涼飲料やお菓子類などに使われているものです。なぜ、カレールウに添加しなければならないのか、まったく理解できませんが、とにかく使われているのは間違いありません。
こうした状況の中で、カラメル色素を使わず、スパイスの刺激も抑えられています。それは、子どもに安心して食べさせることのできるカレーを目指して開発されたためです。箱には、「1歳のお子様から安心してお召し上がりいただけます」と書かれています。よくカレーを作って子どもに食べさせているという家庭では、こうしたカレールウを使った方がより安心できるのではないでしょうか。
冷凍食品
容器は移しかえて加熱
売れ行き好調の冷凍食品。なかでも人気があるのが、お弁当に重宝するコロッケ、ハンバーグ、カツなどです。
冷凍食品は急速冷凍するわけですから、すっかり安心かというと、そうでもない。
案外、添加物が多いのです。
たとえば「ウィンナーポテトフライ」という冷凍食品がここにあります。
原材料名の表示を見ると、添加物のうち避けたいものは、「亜硝酸Na」「リン酸塩」。
なるべく避けたいのは「エリソルビン酸Na」「増粘多糖類」。
添加物以外で不安なのは、輸入ものかもしれない「ばれいしょ」と「揚げ油」。
もし輸入ものだった場合、遺伝子組み換え食品の不安が出てくるのです。
そこで、安心な冷凍食品の選び方。
当然、たくさん添加物が入っている調理品は避けます。ところで、「このまま電子レンジであたためて食べられます」と書いてある冷凍食品が出回っています。
この場合、環境ホルモンが溶けださない容器を使っていればよいのですが、はなはだ疑問。陶磁器の皿か、ポリプロピレン製の電子レンジ用容器に移して加熱するのがよいでしょう。
「フライもの」で気をつけたいこと。
必ず三度あげをします。
冷凍しているからといって、菌は死滅しているわけではありません。生きたまま活動を停止して冷凍され、冬眠しているとも考えられます。食中毒の細菌がついていれば、冷凍されても生き残ることになります。
調理で十分に加熱されれば殺菌できるのですが、冷凍したまま加熱するため、中心部分の温度が上がりにくいことに注意。ある調査によると、冷凍のカニクリームコロッケを170度の油で5分間あげても、中心温度は最高で51度までしか上がりませんでした。万が一菌が入っていたら、むしろ増殖するのに絶好の条件になってしまいます。このままお弁当に入れたりしたら大変。
そこで、しばらく間をおいて2度あげをしました。
中心温度は89度以上に上がったため、殺菌は完璧だったそうです。2度あげすることの意味はここにあります。
オーブントースターで加熱するタイプのものも、きちんと中までアツアツにするのが安心のコツです。焦げるようなら、アルミホイルをかぶせて加熱するようにしましょう。
わかめ
湯に通せば褐色からグリーンに鮮やかに変身し、さりげなく味噌汁の具や酢の物、あるいは若竹煮などにおさまってしまう。ワカメのその何気なさは、エプロン姿のオフクロさんのイメージと重なる。そのごくふだんの食材の座が危うい。学校給食を舞台にしたワカメの国産偽装事件が発覚したのは、2002年4月半ばだった。農林水産消費技術センターの「食品表示110番」に電話があり、埼玉県の海草加工業者が中国産ワカメなどを国産と偽り、県の学校給食の食材を調達する役目の県学校給食会に納入しているという。
同業者の元社員からの連絡だった。県が立ち入り検査をして、その偽装が確認された。食材のうちワカメが中国産のほか、細切りコンブが韓国産、切り干し大根の大根が中国産、すぎ海苔が南米産……と、偽装尽くし。それらは、1998年6月から2002年5月まで県内市町村の小中学校の給食に使われていた。業者は「国産の値段が高いため外国産を使った。原産地は外国だが、加工地は日本国内のために国産と表示した」とうそぶいた。
この業者は東京都学校給食会にも食材を納入していた。そこで、同給食会は先の県学校給食会と同様にその業者との取引を中止した。
この事件の展開の中で、奇妙な問題点が浮上している。ふつう商品を一般消費者に売る場合、産地の偽装を禁じた日本農林規格(JAS)法が適用される。ところが、なんと学校給食会は同法の対象外になっているというのだ。その理由が「学校給食会は一般消費者ではない」というから、首をひねってしまう。子どもたちは一般消費者ではなく、特別な消費者だから偽装食品を食べさせられてもいいということか。学校給食はいわば無法地帯のようだ。
カキ
カキといえばカキ鍋やカキフライではなく生ガキに限り、そして生ガキといえば、これはもう宮城の松島湾産に限ると思い込んできた。実は松島湾はその後、湾内の汚れなどもあって、昔の勢いはなくなったが。それでも三陸海岸あたりでとれる小粒な宮城県産への思いは断ち切れず、広島県産のあのでっぷりとした大粒のカキはカキではない、などとつい悪口を言いふらす。
その思い込みに冷水を浴びせかけるような事件が起きた。同県の地元業者が韓国産カキを宮城県産と偽って出荷・販売していたという。
発覚したのは2002年3月。宮城県産と表示された生ガキのパックの中に、韓国産が混入していた。
さらに宮城県内のカキ仲買業者でつくる「県かき出荷協同組合連合会」(かき連)記者会見で自分自身を含め一部の業者が産地の偽装をしていたことを認めた。
偽装の手口は韓国産を宮城県産と表示する「すり替え」や同県産の中への韓国産の「混入」、また韓国産の加熱用を生食用にする悪質な「用途変更」とさまざまだ。偽装の理由について、「宮城県産の量が足りない」「韓国産では売れないから」と言った。
その後の県の調べで、県内の仲買業者別業者のそのほかの業者が産地偽装していた。
宮城県産の生産量は年間約5000トンあり、広島県産(約2万トン)に続いて全国第二位だ。2001年度の韓国産輸入量は約1万4000トン・県の調査で、そのうち880トンが県内に入り、その中の367トンが偽装され、他に行き先が確認できなかった分が240トンあったという。
ただ、県内の店頭で韓国産と表示されたものを見かけることはほとんどなく、また「県内に韓国産が数千トン入った」との声もあり、偽装の全体の姿ははっきりしていないようだ。韓国産のカキは小粒で、大粒の広島県産とは見分けがついても、同様に小粒な宮城県産とは区別しにくい。宮城県産の身がしまっている小粒自慢を逆手にとった偽装商法に、身びいき組はただボー然とするばかり。今度は、広島県産のびいき組に悪口を言われるハメになってしまった。
しじみ
作家・太宰治も草葉の陰で、きっとびっくりしているのではないだろうか。彼の生家がある青森県金木町(現・五所川原市)に近い、津軽半島十三湖産のシジミが偽装されていた。
2002年3月初旬、関東地方の生協でつくるコープネット事業連合が千葉県漁連から仕入れ、「青森県十三湖産」と表示して販売したシジミに「青森県小川原湖産」が混入していたと発表した。「混入させたのは千葉県漁連だが、あってはならないこと。シジミの購入者には各傘下生協を通しておわびの通知を差し上げ、代金もお返ししました」と、同連合担当者は言う。
実はこの一件が表面化する前、地元・津軽半島十三湖周辺で同湖産のニセ表示が問題になっていた。
「3月までの禁漁期間中(一部漁場除く)、十三湖でとれるシジミは1日2トン程度だが、この冬にその倍もの外国産混入の十三湖産が出回っていました」と、地元仲買業が証言する。
シジミ産地として島根県宍道湖や千葉県利根川、青森県下北半島の小川原湖などが
有名だったが、環境汚染が進んで漁獲量が減り、中国や韓国、北朝鮮、ロシアなどから輸入が増えた。国内消費量年間約4万トンのうち半分の2万トンが外国産で、その7割は中国産だ。
輸入が増える中で、環境汚染が少ない十三湖が注目されるようになった。ただ漁獲量が2000トン程度と少なく、主に県内や東北地方で消費された。それが2001年、テレビの旅行番組などで秘境のシジミと紹介され、首都圏の生協やスーパーなどから注文がきたが、ちょうど禁漁期間と重なってしまった。「おおむね十三湖産3対外国産7というような形でブレンド・増量されていた」と言う。
ニセ表示騒動は、表示を義務づけた日本農林規格(JAS)法の改正(2000年7月)などを背景に、秘境ブームがきっかけになった。
えび
水産物の輸入の中でエビが最も多く、日本人のエビ好きを証明しているが、なぜ日本人はエビが好きなのか。
エビはヒゲが長く、腰を曲げて進む老人になぞらえて「海老」と書かれ、昔から長寿を祝う縁起物として珍重されてきた。
加えてエビには骨がなく、カラ(殻)をむけば、すべてが可食部分で料理しやすい。
またグリシンやペタインなどのうま味成分によってクセのない甘さがあり、刺身や炒め物、揚げ物、蒸し物など食材として幅広く利用されてきた。そのあれやこれやで、人気が高いというわけだ。その日本人の食の伴侶ともいえるエビから大量の抗生物質が見つかった。
2002年8月、厚生労働省は中国産クルマエビから残留基準値を超える量の抗生物質・オキシテトラサイクリンが検出された、と発表した。
輸入業者の報告では、捕獲後、エビはヒラメと一緒の水槽に2日間入れられていたが、その間に与えられたエサの中にオキシテトラサイクリンが含まれていたらしい。
マグロ
大海原を回遊しながら、頭のいいマグロはきっとこう考えるに違いない。結局、オレたちは日本人のために生まれ、日本人のために海の中を一生懸命に泳ぎ、日本人のために肉にアブラをまとわりつかせ、おいしそうになって、食われて死ぬ。それも、これは戦後、いや、わずかここ数十年の話だ。どうしてオレたちはこんな悲運に見舞われなければならないのか。
しかし、そんなマグロの嘆きをよそに、日本人は昨日も今日も、せっせとマグロを食べ続ける。まるでそれが運命だといわんばかりに。ちなみに、世界のマグロ漁獲量190万トンのうち4割近くを日本人が消費する。その大半が刺身など生だ。
日本人は、明日もマグロを食べ続けるのか。
くじら
カツといえば、ほとんどの人がトンカツをさすというだろうが、三十数年前、トンカツにはめったにお目にかかれなかった。国内では肉食系の牛も豚も鶏も生産が少なく、魚貝類が動物性タンパク源の大半を占めていた。だからトンカツは高級メニューで、縁遠いのは当たり前。その代わり、ごくたまにワラジのような大きさのクジラのカツを、食堂で食べることができた。うまかったんだろうか。
きっとそのはずだが、それよりも肉にありつけたという満足感はあった。それが、遠くて貧しい時代の肉の記憶だ。その貧しい時代の肉資源を現代によみがえらせようという商業捕鯨推進派と、捕鯨一切禁止という反捕鯨派、それも互いに国内外の勢力を巻き込む形で論争を展開してきた。2002年5月には国際捕鯨委員会(IWC)が山口県下関市で開かれ、商業捕鯨は否定された。今後、調査捕鯨だけが続けられる。
実は両派の論争が展開される中で浮上してきた大きな問題がある。クジラの汚染問題だ。
うなぎ
むかし、土用の丑の日が近づくと、釣り好きの近所のオジさんが竹で編んだ長い筒を何本か持って、夜中、川へウナギを取るための仕掛けをしに行った。
真ん中に穴が開き、奥へ行くほど狭くなっている朝顔のような形のブタを筒の入り口にはめ、中にエサを入れて川に沈めておく。するとウナギがエサを食べに入り、出ようとするが、出口は狭いからなかなか出られない。それを生け捕りにする。その新鮮そのものの天然ウナギの蒲焼きを、毎年のようにご馳走になった。
あれほどおいしいウナギにはそうそう出会えない。それになんといっても国産は高いし、やはり中国産でガマンするかなどと考えていたら、中国産から相次いで抗生物質などが見つかった。
2002年2月、中国産の冷凍ウナギ白焼きから、水産用医薬品として検出されてはならないとされる、発ガン性のある合成抗菌剤・スルファジミジンが検出された。
続いて同4月、同様に検出されてはならない抗生物質・オキソリン酸が検出された。
ぶり
ブリは戦後、養殖魚貝類のバイオニア
ブリっ子はいや。
寒ブリというコトバの響きはとてもいい。やせガマンをしているような寒中水泳と違い、日本海の冬の荒波を豪快に泳ぎ切るその迷いのなさは昔から人々を心身ともに元気づけてくれたに違いない。
たとえば富山あたりでは、年の暮れ、その年に結婚した男性がお嫁さんの実家へ大きな天然の寒ブリをドーンと届ける習わしが、今でも残っているという。迷いなく、頑張るぞという意思の表示か。その寒ブリはきっと、おいしいだろうな。まず刺身にして、食べ飽きたら切り身にして焼いて、残った骨などアラはブリ大根にする。
しかし、今や夏は北へ、冬は南へと大海を回遊する天然ブリは国内生産量の2割程度にすぎず、残りは養殖物だ。実はブリの養殖は魚貝類養殖の先駆けで歴史があり、しかも養殖ブリの生産量は養殖魚貝類の中で一番多い。つまり、養殖ブリは良くも悪くも国産の養殖魚貝類の栄光と課題を背負いながら、戦後日本の食の市場を走り抜けてきた。時に、天然物と一線を画すブリっ子と陰口を言われながら。
あさり・はまぐり
アサリの片思い、あるいはハマグリは夫婦和合の象徴といわれるのは、アサリもハマグリも二枚貝で、殻が2枚あるからだ。それもハマグリの場合、2枚の殻の形やサイズだけでなく、模様すら他の殻とは合わず、まさに世界にはアナタだけよ、の間柄だという。
その仲の良さが、時に仇になることもある。2001年静岡県浜松市内の中華料理店で中国産のアサリに似た、二枚貝の大アサリ(ウチムラサキ貝)の唐辛子蒸しを食べた4人が、次の日から下痢や嘔吐、発熱などの症状で苦しんだ。それは冬の生ガキなどから感染しやすいウイルス性の感染症(ノーウォーク様ウイルス感染症)による食中毒だった。この病気にかかっても、回復は早く、後遺症もない。
ところが、食中毒発生から1ヵ月後の2002年1月半ば、その4人はA型肝炎になった。その大アサリは先の感染症とA型肝炎の2種類のウイルスに汚染されていた。
さらに同8月に国立感染症研究所が、中国から輸入された大アサリとハマグリからA型肝炎ウイルスを見つけた。
中国産と二枚貝とA型肝炎などの間に、どんな関係があるのか。
サーモン
サーモン(鮭)といえば、はるばる遠い大海の回遊の旅の後、秋口に母川(サーモンが産卵した川)の流れをさかのぼり、産卵すればオス、メス共に倒れる。必死のロマンを背負って短い生涯を終える、そんなイメージが強い。
しかし、世界のサーモン類は1998年を境にして、天然と養殖の比率が逆転し、養殖が半数を超えた。海の世界でも、ロマンは確実に消えつつある。
原因の1つは1970年代半ば、東カナダの森林に散布された大量の農薬で、それがアトランティック・サーモン(大西洋鮭)を大幅に減少させたという。
生後2年目のサーモンは2年子のサーモンと呼ばれ、川を下り、海へと向かう。
その行動は体内のホルモンによってコントロールされている。
ところが森林に散布されたマタシルと呼ばれる殺虫剤には強力な内分泌かく乱化学物質、つまり環境ホルモンが含まれていて、サーモンのホルモン分泌を抑えた。その結果、サーモンの行動に狂いが生まれ、小型サーモン、大型サーモンも減ってしまったという。
天然物の減少に200カイリ問題が加わった。1982年の国連総会で国連海洋法条約が採択され、各国の経済水域が200カイリと決められた。それを機に、アメリカやカナダ、ロシアなどは母川にもどるサーモンを公海でとるべきではないという「母川国主義」を主張してきた。そのため日本は北洋漁場で天然物を捕る操業ができなくなった。それが養殖への転換の背景になった。
イカ
イカ大好きの日本人だが、日本人が好んでいるスルメイカ、ヤリイカ、スミイカなどは、日本の近海から姿を消してから久しい。
それでも、スーパーの鮮魚売り場でも寿司屋でもイカが切れることはない。なぜかといえば、そのほとんどが、アフリカやイタリアでとれた胴の長さが30センチにも達する大型のモンゴウイカの冷凍品だからだ。本物のイカには違いないのだが、肉厚で味は大雑把。
スルメイカの味には、及ばない。
しかし、そのモンゴウイカも、だんだん高級食材の仲間入りをしてきた。
代わって最近、非常に増えてきているのが、タイなど東南アジアで獲れた小型のイカ。
これは、イカ独特の風味が薄く、皮をむいて、殺菌する過程で、さらに味が薄くなってしまう。そこで、イカ味に近いアミノ酸調味液に浸し、人工的に味を付ける。「イカそうめん」などは、こうして味付けられた東南アジアのイカが使われているのだ。イカの「フェイク(模造)食中毒も多い。
「イカ風味フライ」などその代表だ。原料はスケソウダラのすり身、でんぷん、ラード、卵の白身、化学調味料など。
要するに、冷凍スケソウダラのすり身に各種化学調味料、でんぷんをこれ合わせる。そして、イカのつるつるした舌触りを卵の白身で代用させるわけだ。
1000円以下の仕出し弁当に入っているイカのリングは、フライにしろ妙めものにしろ、大半はこのフェイク食品とみたほうがよい。
てんぷら
「てんぷら屋さんのようなサクサクとした衣が、どうしてもできない」主婦の共通する悩みのようだ。しかし、てんぷらのサクサク感を出すのには、プロの料理人でも苦労する。
東京・新橋の老舗のてんぷら屋の料理人がいう。
「よく食品メーカーのセールスマンが来ますよ。『この衣を使えば、簡単にサクサクとしたてんぷらが上がりますよ』とかいうけど、うちじゃ、使ったことはないけど、結構、使ってるとこはあるはずだよ」食品メーカーのセールスマンが売り込んでいたのは、乳化剤の大豆レスチンを主成分とした「バッター」である。乳化剤は普通では混じり合わないものを乳化という状態にさせて混じり合わせてしまう。また、油の「はね」が飛ぶのを抑える効用もある。
「バッター」というのは、本来「小麦粉、卵を水でこれて混ぜたもの」という意味だが、卵の代わりに乳化剤を使うのだ。乳化剤のおかげ
で、バッター液をタネにつけて揚げると、淡黄色の見事なまでのサクサクした衣のついたてんぷらになるのだ。しかし、乳化剤は洗剤に入っている合成界面活性剤と同じようなもので、がんとの関連も指摘されているのを忘れてはいけない。
サクサク感を出すのを売り物にした業務用の揚げ物専門店(オリーブ油)も売り出されているが、スペイン産のものからは、発がん性物質が検出、回収騒ぎも起こっている。便利さの裏に大きなリスクあり、である。
ギョーザ
町興しに利用されるほど、日本人に広く好まれているギョーザ。ただ、市販ギョーザの場合、「中身」が何なのか非常に気になるところだ。
というのも、あるギョーザ店の元バイト店員にこんな話を聞いたからだ。
「豚肉ギョーザを食べたお客さんから、毛のようなものが入っている』と、文句を言われたことがあったんです。それで、冷凍ギョーザを納めている業者に聞いたら、『あっ、それは豚皮の毛だよ』と、言われたんです。それで、『毛くらいとってや』と、うちの店長が注文をつけたのです」豚の皮を肉の代わりに使ったり、皮付き豚肉を皮も肉も一緒に挽き肉にしてギョーザの具にするのは、ギョーザ業界では一般的に行なわれていることだ。もちろん毛は抜かなければならないのだが、手間を省いて抜かないところもあるようなのだ。
ギョーザはこれまでにも問題の多かった食品。2002年、ミスタードーナツは中国から輸入していた
「エビ蒸しギョーザ」に、小石が多数混入していた事実を隠蔽して販売。2006年には、韓国で腐った大根などをギョーザの具にしていたことから、厚生労働省は韓国からの冷凍ギョーザの輸入を禁止。だが、全国のスーパーや中華料理店などですでに売られており、消費者の胃袋に入った後だった。
しかも、冷凍ギョーザの多くには、大豆カスが目一杯入れられて増量されている。
豚肉の臭いがやけに強く(ラードで臭いを付けている)、水っぽくてベトベトした食感があるのはそのためだ。